〔2023.02.23〕更新 生長して葉が大きく広がり翼のようです。昨年11月はずした子株たちも順調に育っています。最新の親株と子株の様子はこちらをご覧ください。

ムーンシリーズの一つのブルームーンです。シルバーグリーンに輝き、飛ぶ様にふわりと広がる幅広の胞子葉がとても美しい品種です。貯水葉の王冠(先端)部分のフリルのような切れ込みもエレガント。上品で優雅な佇まいのビカクシダに一目ぼれして入手しました。ブルームーンの特徴や我が家での育ちの様子をご紹介します。
また、ビカクシダの室内管理の楽しみ方として、影の投影について別記事がこちらにあります。

P.’Blue Moon’〔P.willinckii × P.diversifolium〕の特徴
ブルームーンは、ウィリンキーとディバーシフォリウムの交配種です。この掛け合わせの交配種は、わりと多く、よく名前の知れた品種揃いですね。例えば、ホワイトホーク’ White hawk ‘やペガサス ‘Pegasus’ 、オモ’OMO’もそうだと言われています。どれも白銀に輝く胞子葉と、とても強靭で育てやすいところは同じですが、やはり形態的な個性は違います。ウィリンキーとディバーシフォリウム の掛け合わせでも、親の血をを受け継ぎながら違う個性を持つのは、生物の多様性ですね。
ディバーシフォリウムは、ビフルカツムとヒリーの交配種〔 P.bifurcatum× hillii 〕と言われています。なので、ブルームーンは3つの血統を持つ種ということですね。ブルームーンの幅広の胞子葉にどこかヒリーを感じるのは、血を受け継いでるからなんですね。
ブルームーンの特徴は、青白くて幅が広い胞子葉です。どっしりとした胞子葉がふわりと弧を描く様は、優雅でとてもきれいです。
まだ、子株なのにかなり大きな胞子葉なので、すごく育つ予感がします。とっても丈夫で活発に生育します。冬ですが一日の伸びが目に見えて分かるのがすごい!

シルバーグリーンの葉の魅力

ブルームーンがシルバーグリーンに輝くのは、星状毛といわれる放射状に伸びた毛が葉の表面に生えているからです。葉や茎などにみられる毛状組織はトリコーム(トライコーム)と呼ばれ、星状毛はその一つです。
白銀に輝く星状毛は、ウィリンキーの特徴を引き継いでいて、ブルームーンも星状毛がとても密に生えてます。星状毛は葉が生長して大きくなっても増えないので、生長に従って密度が下がり、葉の地色が出てきますが、ブルームーンは、もともと密度が高いので、葉が大きくなっても白さが残ります。
葉の葉脈が白く際立つのもお気に入りのポイントです。


よく日に当てるとふわふわ白銀に!
星状毛の役割は、強い日光〔紫外線〕・乾燥・害虫からの防御と考えられています。この星状毛が濃いほど胞子葉は白く見えるわけです。ですので、より白く育てるには、日光によく当てるといいですね。

我が家では、同じく トリコーム の多いウスネオイデスも数年育てていますが、日光に当てず部屋の中でしばらく育てていると、 トリコーム が薄くなり緑色になってきます。日差しによく当てて育てるとふわふわの銀白色に育ちます。(ウスネオイデスを育てている記事はこちらにあります。よろしければ見てください。)
ビカクシダも同じで、美しい銀白色のふわふわ葉に育てるには、日光によく当てます。ただし日焼けさせない程度にです。また、星状毛は剥げやすいので注意ですね! 剥げたらもとに戻らないので…。我が家では、葉を擦って剥がしてしまうことよくあります?。
貯水葉も優美
とてもふわっと柔らかいイメージですね。ビーチーのように不動明王の後背の焔のような激しく尖ったフォルムをかっこよく魅力的ですが、ブルームーンはその対極にあるようなビカクシダです。


子株もよく増える
9月に不定芽を三つ発見しました。


真ん中の仔は、貯水葉だけ見えていますが、下の仔の貯水葉で生長点は隠れています。春になって、活発に動き出す頃になれば、株分けして救出しようと思っています。
我が家の育て方
冬の管理環境・育て方のポイント
丈夫で育てやすい品種です。いままでにトラブルもありません。下の条件で育ていますが冬でも葉をだしてグングン育っています。
- 陽によく当てること
- 15℃以上の気温で管理すること
- 風通しを良くすること
- 適度な湿度を保つこと
出来るだけ陽に当てています。冬は晴天の日が多いので、我が家のベランダの陽が直接当たる部分は、かなり暖かくなります。冷たい風が吹かない晴天の日、温度計を見ながら、朝15℃を超える頃にはベランダのよく日が当たる部分に吊るし、陽が傾く頃には室内に入れています。
ただし、陽射しが強かったり、高温では、下の写真のように、葉がしなっと下に垂れたようになります。葉焼けしないよう陽射しには徐々に慣らしていますが、幅広の大きな葉なので多少は致し方ないかなと思ってます。

夕方室内にいれると、またふわりと羽ばたいてるようなフォルムに戻りますけどね。

また、加湿にならないように、1~2日で水苔が乾くくらいの風通しと水やりを心掛けています。ミズゴケを湿らせ根に水をあげるのではなく、根茎の先端(成長点)付近にあげることをイメージして水やりしています。ミズゴケの湿り気は、根茎を乾かさない程度に湿っていればいいのではと思います。
肥料は、貯水葉に直接あたらないように緩効性肥料をミズゴケの上の方に置いています。成長点付近の根茎に栄養成分が溶けた水がいくような場所ですね。冬場、成長が停止しているような場合は肥料はよくありませんが、ぐんぐん生長しているので緩効性肥料を使っています。ビカクシダは、肥料食いとよく言われますが、その通りで、適度に肥料を与えると活発に生長しますね。
夏の管理環境・育て方のポイント
最低気温15℃を超えると終日ベランダ管理に切り替えます。初夏から秋にかけては生長期なので、生育が活発になります。管理のポイントは次の通りです。
- 直射日光を避け、明るめの日陰で管理すること
- 風通しを良くすること
- 適度な湿度を保つこと
我が家では直射日光の当たらない明るめの日陰で管理しています。ですが日陰に置くと細長くびろーんと徒長した胞子葉になりがちです。ですので、遮光ネットなどを使って、明るく穏やかな光で育ててあげるといいようです。
徐々に暑くなってくると水やりも朝と、ミズゴケの乾き具合によっては夕方の2回になってきます。水やりの時間は気温の穏やかな時間を選びます。肥料も適量与えます。
株分け
〔2022.03.21更新〕1月の写真に比べ葉が長く大きくなりました。

親株も子株も順調に生長しているので、本格的な生長期に入るまでに株分けすることにしました。

株分け作業スタート
親株・子株ともにいったん板から外します。

テグスを切り、剥がそうとしましたが、かなりしっかり着生していました。注意深く、指で探りながら剥がしていきます。


子株の切り分け
子株は園芸ばさみを使って切り取りました。園芸ばさみは、アルコールでさっと拭いて消毒すると安心です。
テグスも貯水葉の重なりの内側に残っているので、引っ張るよりもバシバシ切った方が株に負担がかかりません。親株の古い貯水葉の内側のミズゴケまで切り、貯水葉を切らずに残すと、見た目損傷がなく済みます。

親株の再板付け
切断したテグスは抜けるものだけ抜き、再び同じコルク板に板付けします。

切断した部分に水で濡らしたミズゴケとベラボンを混ぜた用土を補います。

板に置いて隙間をミズゴケで埋めます。

テグスで固定して親株は完成。テグスを巻く作業は、板を持っている人とテグスを撒く人の2人でやると簡単です。

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子株の切り分けと板付け
3つ新芽があったはずですが、2つの間に隠れてしまった芽は育たなかったようです。2つを分けます。自然に分かれる所で切ります。残ったテグスも優しく抜き取ります。

こちらも手で引っ張るように分けるよりもハサミで切り分けたほうが、株に負担にならないです。

子株は、親株と板との隙間に出ているので貯水葉の形が歪んでいる場合が多いです。板付けするとき成形しくいので、貯水葉を切って整えます。
下の写真の株は、上側に位置していた方の子株です。

貯水葉は結構厚みがあり、硬めのスポンジのように弾力があります。

コルクの板の凸凹に水で濡らしたベラボンとミズゴケを混ぜたものを詰め平らにした後、成長点を中心に半球状にミズゴケを盛っていきます。

一度にきれいに盛れなくても、一度テグスで固定してから、足りない所に付け足してまたテグスを巻くというように、数回に分けて、整えていけばきれいに仕上がります。
完成です。


こちらは、下側に位置していた方の子株です。同じようにベラボンとミズゴケで成形します。

2つともに完成です。


しばらく養生して様子をみます。
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成長の記録
2022.07
胞子葉も大きくどっしりとしたものがどんどん出てきます。ついこの前から貯水葉のターンになり、新しい貯水葉が伸びつつあります。

下の方に新しい子株が生長中です。

3月に切り分けた子株も、活発に生長中。

2022.10
胞子葉の分岐が複雑になり表情豊かになりました。夏の間、直射日光を避けて日陰に置くと細長くびろーんと徒長した胞子葉になりがちです。ですので、遮光ネットなどを使って、明るく穏やかな光で育ててあげるといいようです。春や秋の光がやはりちょうどいいですね。これからが楽しみです。



新葉の胞子葉は白さが際立ってとても綺麗。

胞子嚢が反り返って、葉先が少しカールします。それで表情豊かになるんですね。

子株もいっぱいできます。

2022.11
肌寒くなり、夜間は室内管理することが増えました。子株が株の下側にも多く付いているのですが、持ち運ぶ時や吊るすとき、コルク板の下側を持つことが多いので、子株が邪魔です。いつか傷つけてしまいそうなので、外すことにしました。
これから寒くなるので、株分けに適した季節では思いませんが、室内は暖かいし陽も入るので、養生させるのには問題なしと思いました。
はじめは、大きめの株だけ外そうと思っていましたが、連なっているので、大部分外すことになりました。結果は次の通りです…。

ポットに一応植え込みました。分けきれず、3株くらい一緒になっているのもあります。しばらくはこの状態でしたが、扱いにくいので、大きめ3株は板付けにしました。

板付けにすると、乾きやすいのですが、吊るしておけるので取り扱いは楽ですね。板は、焼桐の板を使っています。
大きく育ってほしいものです。
2023.01

相変わらず、ふわりと広がる胞子葉がエレガントです。
昨年はずした子株もゆっくりと生長しています。


生長旺盛になる春が待ち遠しいですね。こちらでは冬期は快晴が多く、朝から16時頃まで屋外でよく陽に当てています。
2023.02 親株と子株の様子

幅広の胞子葉がエレガントで、羽ばたいているようです。2月に入り生長が活発化し、新しい貯水葉が出て来ています。春をいち早く感じているようです。
昨年株分けした子株たちも、生長しています。
子株A.B.C
子株A.B.Cは、貯水葉と胞子葉が揃ってきていて、昨年早い時期に発生した株ですね。冬の間、保湿のため、ミズゴケ部分をビニールで覆っていたんですが、BとCは、生長点の向きが、少しずれていて、最近向きを修正したので、ビニールは取り外したままです。板の大きさは横15x縦20cmです。






子株D.E.F
子株D.E.Fは、貯水葉展開中の株です。Dは、小さいけれど、胞子葉もでてます。EとFは近接した芽がもう一つありそうです。



鉢植え ①~⑥

生長が楽しみです。
我が家では、ブルームーンの他にも7種類のビカクシダを育てています。育て方などの記事も書いているのでよかったら見てください。
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