〔2023.09.13〕更新 9月になり、新しい胞子葉が出てきました。今回の胞子葉には美しい凸凹が出現! このOC株は、貯水葉も胞子葉もワッフル状の凸凹がはっきりと深い特徴がある個体なんです。 つるんとした幼苗から、ここまで生長するのに約2年かかりました~。最近の様子について詳しくはこちらです。


マダガスカリエンセは、貯水葉にワッフル状の凸凹があり、その姿はとても個性的でマニア受けするビカクシダです。以前より、出自不明な細葉タイプのマダガスカリエンセを育ていますが、オリジナルクローンを入手する機会があったので、こちらも育ててみることにしました。



尚、以前から育てているマダガスカリエンセの育て方と育ちの記録の記事がこちらにあります。育て方は同じです。
オリジナルクローン〔OC〕株って?
マダガスカリエンセは、ビカクシダの原種の一つで、マダガスカルの固有種です。ですので、マダガスカリエンセのオリジナルクローン〔OC〕は、原種由来の子株ということになりますね。人為的な胞子培養や組織培養技術〔メルクロン〕で作られたものではないということです。尚、厳密にいうと人為的な胞子培養株は、クローンではないので、『マダガスカリエンセ』の名称を名乗れません。『マダガスカリエンセ胞子培養株』です。
オリジナルに対して人為的に成長点を培養して増やした株は、メリクロン株といいます。メリクロン株は人為的なクローンですので、遺伝子はオ
リジナルと同一のものということになります。
ちなみに園芸種の場合ですと、人為的に交配した株の中から選抜した唯一の株がオリジナルで、そのオリジナルから自然に発生した子株をオリジナルクローン〔OC〕と呼びます。
オリジナルクローンなら、遺伝子的には皆同じ?
オリジナルクローンと呼ばれて流通しているものでも、貯水葉のワッフルの凸凹具合など個体差があります。マダガスカリエンセは、マダガスカルの固有種ですが、自然に交配して増えているはずですし、枝替わりも出ますよね。ですので、原種やOCのものでも違いがあって当然なのかなと思います。
我が家のマダガスカリエンセOC株は、購入時に親株を確認しましたが、比較的凸凹が深い個体です。
マダガスカリエンセを育てるのは難しい?
最近はブリーダーの方々によって日本で育てて株を増やしたものがネットで簡単に入手できます。植物もある程度環境に適応するわけで、日本で生まれ育ったものは育てやすくなります。ですので、マダガスカリエンセも順応して、丈夫で育てやすいです。
しかしながら、我が家では、数種類のビカクシダを育てていますが、育てる環境に関して言えば、他のビカクシダに比べ、高湿度環境を好むので、マダガスカリエンセは手のかかるほうだと思います。また、比較的穏やかな気温が育ちやすいです。
OCは比較的丈夫で育てやすい
ただ、細葉タイプとOCを育ててみて、どちらが育てやすいかと言えば、OC株のほうが断然育てやすいと思います。特に子株発生から貯水葉が10㎝超えるまでの生長スピードはOC株は早いです。それに細葉タイプの方は、大人の株になるまでは乾燥に弱くデリケートなのに対し、OCは、子株の頃から乾燥にも強く丈夫なんです。尚、育てやすさについては、我が家の感想であり、我が家にいる個体での比較ですので、すべてのマダガスカリエンセOCが育てやすいとは限らないと思います。
マダガスカリエンセの育て方
マダガスカリエンセは、マダガスカルで常に雨が降っているような環境で自生しているそうです。それをイメージして環境を作るといいと思います。
春秋の穏やかな気温がベスト
気温もそれほど高くない(25℃以下)方が育ちやすいのではないかと思います。というのも、秋から春まで一日中20℃前後で育てている時期が調子よくすくすくと育つのに、気温が上がる夏は、貯水葉が黒くなったり、胞子葉が縮れたりと調子を崩しがちです。
明るめの日陰や室内のレースカーテン越しの窓辺の明るさでも育つ
ビカクシダの仲間は日当たりを好むものが多い中、マダガスカリエンセは、比較的日陰で育ちます。もちろん植物なので日光は必要ですが、年中直射日光に当てずに育てています。屋外では明るめの日陰、室内ではレースのカーテン越しの窓辺などで育てるほうが、きれいに育ちます。
湿度が高い環境で育てるときれいに葉が展開する
空中湿度が高い環境で育てると葉が割れたりせず、きれいに展開します。簡単な温室などがあるといいですね。我が家は、苗帽子と呼ばれるドーム状のカバーに入れて管理しています。板付け出来るほど大きくなれば、ある程度の乾燥にも耐えられるようになりますが、育ててみて貯水葉の端が切れたり、形がいびつになった場合など、状況に応じて高い空中湿度を保てるように工夫したほうがよいでしょう。
根回りに関しては、ミズゴケがしっとりと水分を含んでいる程度に保つのがよいかと思います。ただし、いつも水に浸っていたり、空気が通らないほどびしょ濡れにならないよう注意します。マダガスカリエンセだけでなく植物全般、過湿は腐らせる原因となります。マダガスカリエンセにとっての適度な湿り気が必要です。
また、水やりの際、じょうろで葉やミズゴケ部分に水をかけてあげますが、貯水葉の凹みに水が溜まったままにならないようにしましょう。貯水葉の凹みに水が溜まってしまったら、フッと息をかけて吹き飛ばします。
虫に注意
我が家で困っている害虫は、ワラジムシとコナカイガラムシです。
マダガスカリエンセを屋外の地面に近いところで管理すると、ワラジムシの恰好の餌食になります。ワラジムシ程度なら大丈夫と放置すると数が増えて貯水葉を食い荒らされます。屋外で管理する場合は、高い場所で管理した方がよいです。我が家の退治方法は水攻めです。マダガスカリエンセ全体を水に浸け、しばらく置くとワラジムシが出てくるので、それらを駆除します。
また、比較的暗い場所でも育つため、コナカイガラムシも付きやすいです。胞子葉の裏など、こまめに点検して駆除します。コナカイガラムシは、駆除しきるのがなかなか難しい害虫です。成虫には薬が効きにくいので、つまようじやブラシなどを使ったり、ティッシュで拭き取ったりして駆除します。幼虫には薬が効くので、綿のような巣を見つけたら、取り去った後にスプレー式の薬を散布するといいですね。我が家はベニカXファインスプレーを使っています。
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マダガスカリエンセOC株の特徴
我が家では、細葉タイプのマダガスカリエンセも育てています。やはり、見た目も少し違うので比較しながらOC株の特徴を説明します。
尚、細葉タイプは、ほぼ生長しきった大人の株です。それに比べてOC株は、おそらく発生から1年半~2年の株で、生長すると貯水葉の凸凹ももっと深くなり、胞子葉も幅広で葉脈の凸凹ももっとはっきりと出るはずです。

生長時の貯水葉の大きさは、OC株のほうが子株の時から比較的大きいです。細葉タイプもOC株も貯水葉の凸凹は深いのですが、細葉タイプは、OC株と比べると凸凹の並びやかたちが不均一で、荒々しくワイルドな感じがします。OC株は、凸凹の並びが均一で細かく、半円ドーム状にきれいに展開します。

一番特徴が異なるのが胞子葉です。細葉タイプの方が枝替わり種で、流通しているマダガスカリエンセは通常、胞子葉が幅広いです。マダガスカリエンセって貯水葉の個性も濃いですが、幅広の胞子葉も同じく個性が濃いので、我が家としては、すっきりとした細葉タイプが好みだったんですね。それで細葉タイプを入手したわけです。マダガスカリエンセに愛着を持ってからは、OCも入手したくなり現在に至ります。細葉タイプは、リボンのように左右に胞子葉が広がり葉脈も筋が見えるだけで凸凹が出ません。それに比べ、OCは幅広で葉脈に沿って凸凹が出ているのがよくわかります。ボリュームがあり迫力あるスタイルになるのは、OC株の方ですね。
まあ、特徴の違いを書いただけで、どちらが正統かということではありません。どちらも魅力的なマダガスカリエンセだと思っています。
育ちの様子
2022年07月
向かって左の新しい貯水葉が展開しきったところですが、以前の葉より、凸凹が深くなってます。新しい葉が出るたびに凸凹が際立つようになるので、生長がとても楽しみです。

2023年02月
胞子葉は若いのできれいな色してます。次出てくるのも胞子葉ですね。

2022年の夏に子株が2つ発生し、秋に外しました。オリジナルクローンの子株は、我が家に以前から育てている細葉タイプに比べて、丈夫で育てやすい上に初めから貯水葉が大きいですね。貯水葉の凸凹も早いうちから出現します。

子株を入れている透明のプラ容器は、内寸11㎝ですので、もう板付けしても安心なサイズですね。


いい感じに育っています。
2023年05月
親株は新しい貯水葉が出てきて、そろそろブログに更新しようと思っていた矢先に、ワラジムシにやられました! ここ数日、新しい貯水葉の端が少し破れたようになっていたので、気づかないうちに傷つけてしまったかなと思っていましたが、今朝、被害が拡大!よく見てみると凹の部分にワラジムシが呑気におさまっていました。端を数か所かじられたほかに、葉の表面も小さな傷が見られます。

昨年は被害がなかったので、注意を怠っていましたね…。思い出しました。ワラジムシはマダガスカリエンセが大好物だったこと…。非常に残念です。
早速、水攻めしました。指さしても見えませんね💦。

8匹くらい駆除しましたが、きっともう少しいると思います。貯水葉の裏側に空気が溜まっていると思うので、そこにじっとしていれば、かなり長い時間平気なはずです。

喰われてしまったのは残念ですが、本体はいたって元気です。食害にあった部分は、もう片方の貯水葉が出てきたら、隠れるだろう部分なので、目立たなくなると思います。

良かったことに、子株の方にワラジムシはおりませんでした。ほっと安心です。子株は、順調に育っています。

2023年06月
ワラジムシで傷つけられた新葉も生長して目立たなくなりました。なかなか端正な顔つきです。幅広の胞子葉が様になってきました。

しかし、残念ながら次に出てきた貯水葉もしっかりワラジムシの被害に! 探してみたら3匹ほどいました。退治して今度はオルトランを撒きました💦 そして、高い位置に吊るしてます。床から50㎝くらいの位置に吊るしていましたが、それでは上がってくるんですよね。朝、葉の凹の部分にワラジムシがいい具合に納まっているのを見ると、瞬間可愛く思ってしまうんですが、やっぱり憎いですね。勘弁してほしいです。
2023年07月
貯水葉の凸凹が一段と激しく浮き立ってきました。胞子葉でワラジムシの被害に会った箇所隠しています💦。傷があるとそこに目が行ってしまうんで…。本来の姿は、やはりカッコいいですね。


子株もちらほら出てきました。夏の始まりですね。
〔2023.07.26〕新しい貯水葉展開中です。オルトランを水に溶かして葉全体にかけたのが効いたのか、ようやくワラジムシの食害から解放されました。出始めの貯水葉って初々しくていいですね。親株がかなり大きくなったので、一回り大きいコルク板と交換しました。

親株のコルク板を交換したのと同時に、子株もコルク付けにしました。やはりコルク板に付けると雰囲気ありますね。下の画像の中央が親株で、両隣が子株です。発生から約1年ですが、親と見劣りしない大きさです。貯水葉の凸凹の深さは親ほどではありませんが、1年後には親と同様になっているでしょう。楽しみです。


2023年09月
7月に出た貯水葉は、8月に入り、例年より暑さがひどかったせいか、生長が途中で停止してしまいました。残念!今年は滅茶苦茶暑かったですもんね。日陰で直射日光には当ててないんですが、やはり高気温が原因ですね。
9月に入ってからも暑さはまだ続いていますが、湿度が少しおさまり、朝は過ごしやすくなりましたね。マダガスカリエンセも再び活動を開始し、胞子葉が出てきました。

今度の胞子葉は今までとちょっと違います。上の画像の古い胞子葉と違い凸凹がはっきりしています。ようやくこのOC株の特徴が出てきました。貯水葉の凸凹も深いですが、胞子葉も幅広で凸凹がはっきりでる個体なんです。おとなになりましたね~。

胞子葉2枚揃うのが楽しみです。暑さももうちょっとの我慢、途中で生長止まりませんように…。
以前から育てている細葉タイプのマダガスカリエンセの育て方と育ちの記録の記事がこちらにあります。
ビカクシダ(コウモリラン)・マダガスカリエンセの育て方:初めて育てるときの注意点・コツ
また、我が家ではマダガスカリエンセの他にも7種類のビカクシダを育てています。育て方などの記事も書いているのでよかったら見てください。
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