ビカクシダ交配種:ダーヴァルヌネス(マダガスカリエンセ×ステマリア)を育て方・育ちの記録

〔2023.01.13〕更新 最近の様子をこちらに追記しました。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria
Platycerium ‘Durval Nunes’ 2023.01.13

ダーヴァルヌネスのオリジナルクローン(OC)を育てています。マダガスカリエンセとステマリアの交配種ですが、マダガスカリエンセに比べ乾燥にも強く比較的育てやすいです。我が家の育て方についてご紹介します。

P. ‘Durval Nunes’ (P.madamascariense × P.stemaria )

アメリカのビカクシダ栽培家、Carlos Tatsutaさんが作り出したマダガスカリエンセとステマリアの交配種です。入手困難な貴重種で『幻の…』といわれていましたが、最近オリジナルクローン(OC)もメリクロン株もどちらも出回り、ヤフオクやメルカリでも目に付くようになりました。

ダーヴァルヌネスの特徴

ダーヴァルヌネスの特徴といえば、ダイヤモンドカット状に葉脈が広がる貯水葉ですね。マダガスカリエンセに比べると凹凸は少なくクセはありませんが、マダガスカリエンセ由来だと想像させる貯水葉です。そして、貯水葉の形状自体はステマリアに影響されていて縦方向に長くなります。まさにマダガスカリエンセとステマリアが同程度交じり合っています。おとなになるまで生長した姿はとても個性的なので、好みの分かれるビカクシダかもしれません。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria
Platycerium ‘Durval Nunes’ 2022.05.02

我が家のはまだ小さいですが、冠部分が少し出てきて葉脈も以前よりはっきりしました。それでも特徴がはっきりして葉脈がきれいに出るのはもう少し先ですね。楽しみです。

オリジナルクローンとメリクロン、違いはある?

ビカクシダは、胞子での増え方以外に、親と全く同じ性質の子株を作ることによって増えていきます。子株は、親株と100%同じ遺伝子を持つオリジナルクローンです。メルクロンは、生長点を分離して培養する方法なので、人工的ですが、こちらも100%同じ遺伝子を持ちます。遺伝子的には同じです。尚、稀に変異体ができる可能性はありますけどね。変異体になったほうが貴重だとも思いますけど…(^^♪

園芸種の場合、胞子で増えたものは、親と同じ園芸種名を名乗ることはできず、○○の胞子培養品でしかありません。メリクロンは、クローンですので、オリジナルクローンと同様、同じ園芸種名を名乗ることができます。貴重とされていたものもメルクロン技術によってたくさん流通するようになりました。市場には、両方出回っており、お値段も違うので、購入する際は、きちんと納得して購入したいですね。何に重きを置くかは個人の自由ですし、我が家がビカクシダの栽培を始めたころは、まったく初心者でオリジナルだとかメルクロンだとか知る由もなかったので、出自が不明のものもあります。最近購入したものにも、オリジナルクローンもあるし、胞子培養品もあれば、メリクロンもあります。子株の売買する際にお互い納得して取引きできれはいいおはなしですね。

我が家の育て方

ダーヴァルヌネスを育ててまだ1年に満たない程度ですが、丈夫で育てやすく感じています。ステマリアは育てていませんが、片親のマダガスカリエンセを数年育てています。マダガスカリエンセは乾燥に弱く、空中湿度と生長点・根茎付近の湿り気が常に必要に思いますが、それに比べてもダーヴァルヌネスは比較的乾燥に強く、丈夫な印象です。まぁマダガスカリエンセが他のビカクシダに比べて特殊なんですが…。しかし、片親にマダガスカリエンセを持ちながら育てやすいなんて意外でした。

板付けのタイミング

我が家は、貯水葉にまだ特徴が出ていないちびっこの子株を鉢植えで購入しました。左右の貯水葉の直径が10㎝超えたあたりで板付けしました。種類にも寄りますが10㎝超えたくらいで葉が活発に出て生長していれば、初夏や晩夏・初秋などビカクシダにとって快適な生長期のタイミングで板付けするといいですね。ビカクシダは、鉢植えよりも板に着生させたほうが、水はけがよく根腐れなどのトラブルもおきにくいので、管理が楽だと思います。板付けも簡単です。

我が家の板付けの方法について、こちらに記事がありますのでご興味がある方はご覧ください。

冬の管理環境・育て方のポイント

  • 陽によく当てること 
  • 15℃以上の気温で管理すること
  • 風通しを良くすること
  • 適度な湿度を保つこと

出来るだけ陽に当てています。冬は晴天の日が多いので、我が家のベランダの陽が直接当たる部分は、かなり暖かくなります。冷たい風が吹かない晴天の日、温度計を見ながら、朝15℃を超える頃にはベランダのよく日が当たる部分に吊るし、陽が傾く16時には室内に入れています。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria
2022.01下旬

陽射しがない寒い日は、室内の窓辺に吊るしています。

ダーヴァルヌネス コロナリウム・フィリピネス・ドワーフ ジェイドガール・スポア
2022.01下旬

冬は空気が乾燥しているので、ミズゴケの乾きも早いのですが、一日で水苔が乾くくらいの風通しと水やりになっています。朝、気温が上がってからじょうろで全体に水をかけ、16時頃室内に入れるころに霧吹きで生長点辺りを湿らしてあげてます。ミズゴケを湿らせ根に水をあげるのではなく、根茎の先端(成長点)付近にあげることをイメージして水やりしています。ミズゴケの湿り気は、根茎を乾かさない程度に湿っていればいいのではと思います。

肥料は、貯水葉に直接あたらないように緩効性肥料をミズゴケの上の方に浅く埋めてます。成長点付近の根茎に栄養成分が溶けた水がいくような場所ですね。冬、成長が停止している場合は、肥料をあげるのはよくありませんが、冬でも生長している場合は、緩効性肥料を使っています。ビカクシダは、肥料食いとよく言われますが、その通りで、適度に肥料を与えると活発に生長しますね。

育て方は、環境によってそれぞれだと思いますが、我が家の育て方はこんな感じです。我が家にやってきて半年程度ですが、我が家に来てから新しい貯水葉が3枚出てきました。初めは真ん丸の貯水葉でしたが、冠部分が少し長くなって少しづつ特徴が出てきてます。とても丈夫で活発です。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria
2022.01下旬

春の管理環境・育て方のポイント

日中は、屋外の陽の当たる風通しのいい場所で管理します。

春になると徐々に日照時間も長くなっていきますね。気温を見ながらベランダ管理の時間を長くしていきます。やはり15℃以上が管理の基本です。4月に入ると、最低気温が15℃を超える日が出てきます。そうすると夜もベランダに出しっぱなしになり、5月中旬頃には、毎年ほぼベランダに出しっぱなし管理になっています。ダーヴァルヌネスも一般的なビカクと同じ管理で問題ないですね。

水やりは、ミズゴケの表面の乾燥具合を見てあげます。

ミズゴケは、乾燥しすぎるとパリパリになって水をはじいてしまい吸水しにくいので、乾燥しきる前に水やりするといいです。水苔を触った時に、乾いているけれども中に水気を含み柔軟さが残っている状態がベストです。じょうろで全体に水をかけています。ミズゴケが乾きすぎた場合は、バケツに水を溜めてビカクシダを浸け、ミズゴケに十分吸水させています。

肥料は、観葉植物用の緩効性肥料を与えています。以前は、錠剤を上部のミズゴケに置いていたのですが、貯水葉が小さい子株では、水やり時や移動の際に肥料が転げ落ちてしまうので、最近では粒状の肥料を蓋つき肥料容器に入れて、上部のミズゴケに挿すようにしました。簡単に落ちないしとても便利です。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria
上部に肥料容器


春になって胞子葉が2枚出てます。マダガスカリエンセとかたちが似た胞子葉ですね。マダのように胞子葉が左右1対出たら貯水葉が左右一対出て…みたいな感じで生長するのでしょうか。これからの生長が楽しみです。

夏の管理環境・育て方のポイント

直射日光の当たらない明るい日陰、かつ風通しのよい場所で管理します。

夏の高温多湿でも丈夫で育てやすいと感じました。直射日光に当てず、風通しの良い場所で管理すれば、問題なく夏越しできました。

水やりは、ミズゴケの表面の乾燥具合を見てあげます。

春と同じく、ミズゴケが乾燥しきる前に水やりします。水苔を触った時に、乾いているけれども中に水気を含み柔軟さが残っている状態がベストです。じょうろで全体に水をかけています。ミズゴケが乾きすぎた場合は、バケツに水を溜めてビカクシダを浸け、ミズゴケに十分吸水させています。朝夕状態を見て、水やりか霧吹きで葉水していますが、ほぼ毎日に水やりしています。猛暑の日は、夕方にじょうろで水やりし、翌朝は、葉や生長点など全体に霧吹きで調整することが多いです。

緩効性肥料は交換せず、そのまま使っています。気温が少し穏やかになる9月頃に交換しています。

生長の様子

2021年10月

順調に貯水葉が展開し、10月初旬、左右の貯水葉の直径が10㎝超えたあたりでコルク板に板付けしました。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria
板付け当初

2022年2月

冬の間も新しい貯水葉が展開し、徐々に冠部分が伸びてきました。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria

2022年5月

3月頃、初めての胞子葉が出てきました。3月~4月は、例年より冷える日が多かったので、少々生長が遅い気がします。5月初旬2枚目の胞子葉展開中。小さいながら丹精な顔つきです。GWの今も、例年に比べ気温低めですが、じきに暑くなるでしょう。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria

2022年8月

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria

貯水葉のダイヤモンドカット状の模様がはっきりしてきました。貯水葉の先端部も立ち上がりフリルののようです。デコラティブな貯水葉と対照的に胞子葉はシンプルなフォルムで、全体のバランスがなかなかカッコイイですね!

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria

反対側の貯水葉も展開中。左右が整うのが楽しみです。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria

2023年1月

一回り大きな胞子葉が生えてきました。つやつやしてきれいです。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria

向かって左も同じように新しい胞子葉が出てきています。ボリュームのある胞子葉ですので、貯水葉も今より一回り大きいと均整がとれそうですね。次の貯水葉が出るのは春暖かくなるころでしょうかね。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria
2023.01.13

貯水葉の葉脈がはっきり出ています。

ダーヴァルヌネス オリジナルクローン P. 'Durval Nunes' P.madamascariense × P.stemaria

我が家では、ダーヴァルヌネスの他にも7種類のビカクシダを育てています。育て方などの記事も書いているのでよかったら見てください。

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