ビカクシダ・コロナリウム・フィリピネス・ドワーフ〔Platycerium coronarium Philippiness Dwarf〕の育て方・育ちの記録

〔2022.08.26〕更新 夏の管理環境最近の様子を追記しました。

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf メリクロン苗
Platycerium coronarium Philippiness Dwarf 2022.08.24 

2021年の9月からコロナリウム フィリピネス ドワーフを育てています。子株を鉢植えで購入し、その後板付けし、現在にいたります。我が家は、夏期はベランダ、低温時は適宜室内へと管理場所を変え、素人栽培ですが数年前から現在8種のビカクシダを育てています。その経験も織り交ぜて、育ちの様子や我が家の育て方のポイントについてご紹介したいと思います。

コロナリウム フィリピネス ドワーフ 〔Platycerium coronarium Philippiness Dwarf〕 って?

特徴

コロナリウムは、東南アジアに分布するビカクシダです。広く分布するので、育った環境による変種も多くなります。フィリピネス ドワーフは、フィリピン産の矮小種です。コロナリウムの胞子葉は、細かく分岐しながら垂れ下がり、とても魅力的で美しいのですが、如何せん巨大化し、なかなか手を出しにくい種でした。フィリピネス ドワーフは、胞子葉が回転するように優美にカールするフィリピンの特徴も持ちながら、非常に小型なので、普通ご家庭の環境でも育てやすいコロナリウムです。

ドワーフって?

ドワーフとは、矮性のものを指し、通常の大きさより小さいまま成熟します。突然変異やホルモン異常・環境によるものもありますが、人為的な品種改良などでも作り出されます。野生の矮性種のものも人為的なものもドワーフと呼ばれているため、フィリピネス ドワーフが誕生した経緯は、素人の我が家にはわかりませんでした。品種改良とまでは行かなくても、胞子蒔きの選抜でもドワーフ種は生まれています。ビカクシダの栽培は、最近とても人気で、その為たくさんの交配種や変種が出回っていて、それらの出どころはわからないものも多数です。

OC(オリジナルクローン)かTC(組織培養)か

まあ出自はわからなくても、小型で美しいコロナリウムはとても魅力的です。ちなみに我が家のフィリピネスドワーフは、メリクロン株です。メルクロン株とは、成長点を取り出し培養する技術(TC)を使い、オリジナルと全く同じものを人為的に作り出したものです。なので、我が家のフィリピネス ドワーフは、ほぼ園芸種といっていいものだと思っています。メリクロン株によって、種の低価格化が進み、希少性は失われますが、そのおかげで我が家でも入手出来ているんですよね。オリジナルクローン(POP)とメリクロンの区別について、最近よく話題になるようですが、我が家では、価格と価値観は計りにかけて、柔軟に考えています。どちらも遺伝子は同一です。

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf メリクロン苗
ビカクシダの森さんから購入した当初

板付けのタイミング

我が家は、2021年9月に子株を鉢植えで購入しました。貯水葉も胞子葉が出ている状態で生長も活発だったため、すぐに板付けしました。板付けのタイミングとしても問題ない季節です。ビカクシダにとって快適な生長期の初夏や晩夏・初秋などがいいですね。ですが、温度管理をしていて活発に成長しているなら、それほど季節は問題にならないとも思います。ケースバイケースですね。ビカクシダは、鉢植えよりも板に着生させたほうが、水はけがよく根腐れなどのトラブルもおきにくいので、管理が楽だと思います。板付けも簡単です。

我が家の板付けの方法について、こちらに記事がありますのでご興味がある方はご覧ください。

コロナリウム フィリピネス ドワーフの栽培ポイント

購入した子株は、次々と貯水葉と胞子葉がでて活発に育っています。ビカクシダって、春から夏が生長期ですが、秋から初冬などは、安定してコンディションがよいように思います。

通年の栽培条件は、次の4点です。

  • 夏場は直射日光を避けて、通年穏やかで明るい日照で管理すること 
  • 15℃以上の気温で管理すること
  • 風通しを良くすること
  • 適度な湿度を保つこと

この4点は必須ですが、徒長させず締まった株に育てるには、日照がとても重要です。育ちを見て素行錯誤が必要です。

秋から冬の環境

秋から冬は、出来るだけ陽に当てています。冬は晴天の日が多いので、我が家のベランダの陽が直接当たる部分は、かなり暖かくなります。冷たい風が吹かない晴天の日、温度計を見ながら、朝15℃を超える頃にはベランダのよく日が当たる部分に吊るし、陽が傾く16時には室内に入れています。夏の終わりころから徐々に直射日光に慣らします。陽によくあてると株がしまって胞子葉も短くなりがちですが、その辺は今後成長過程でちょうどよい日当たりを試行錯誤したいと思っています。

また、加湿にならないように、一日で水苔が乾くくらいの風通しと水やりを心掛けています。ミズゴケを湿らせ根に水をあげるのではなく、根茎の先端(成長点)付近にあげることをイメージして水やりしています。ミズゴケの湿り気は、根茎を乾かさない程度に湿っていればいいのではと思います。特にコロナリウムは、水やりが多いと貯水葉が早く枯れてしまうので、湿った状態が続かないように気を付けています。かといって根茎が完全にかわいてしまうと枯れてしまうので、ご自宅の環境にあった水やり加減を得るといいですね。空中湿度は高めを好むので、乾燥しやすい冬場は、霧吹きで成長点と胞子葉全体に葉水して補ってあげると生き生きとします。

肥料は、貯水葉に直接あたらないように緩効性肥料をミズゴケの上の方に浅く埋めてます。成長点付近の根茎に栄養成分が溶けた水がいくような場所ですね。貯水葉が大きくなり重なると、葉の間に入れています。

春の管理環境・育て方のポイント

3~4月は屋外の穏やかな陽の当たる場所で管理し、直射日光が強くなると明るい日陰に移行。

春になると徐々に日照時間も長くなっていきますね。気温を見ながらベランダ管理の時間を長くしていきます。やはり15℃以上が管理の基本です。4月に入ると、最低気温が15℃を超える日が出てきます。そうすると夜もベランダに出しっぱなしになり、5月中旬頃には、毎年ほぼベランダに出しっぱなし管理になっています。コロナリウムも一般的なビカクと同じ管理方法で問題ないですね。4月下旬くらいから暑くなり直射日光も強くなりますので、直射日光を避けた明るめの日陰管理に移行していきます。風通しよくは、通年の必須条件です。

水やりは、ミズゴケの表面の乾燥具合を見てあげます。

毎日水やりして、一日のうちにミズゴケが乾燥する状態を心掛けますが、ミズゴケは、乾燥しすぎるとパリパリになって水をはじいてしまい吸水しにくいので、乾燥しきる前に水やりするといいです。水苔を触った時に、乾いているけれども中に水気を含み柔軟さが残っている状態がベストです。じょうろで全体に水をかけています。ミズゴケが乾きすぎた場合は、バケツに水を溜めてビカクシダを浸け、ミズゴケに十分吸水させています。ただし、コロナリウムは水のやりすぎは注意ですので、貯水葉がすぐに枯れてしまわないように適度を心掛けます。

肥料は、観葉植物用の緩効性肥料を与えています。以前は、錠剤を上部のミズゴケに置いていたのですが、貯水葉が小さい子株では、水やり時や移動の際に肥料が転げ落ちてしまうので、最近では粒状の肥料を蓋つき肥料容器に入れて、上部のミズゴケに挿すようにしました。簡単に落ちないしとても便利です。

コロナリウム フィリピネス ドワーフ Platycerium coronarium Philippiness Dwarf
上部に肥料容器


梅雨時期から夏の管理環境・育て方のポイント

太陽高度が高い時期、ベランダなどの軒下栽培は、日照不足で徒長しないように注意

管理環境や育て方は、春と変わらずなのですが、他のビカクシダに比べて胞子葉が徒長しやすいと思いました。ベランダのような軒下管理では、夏至〔今年は6月21日〕前後は陽が高いので、光が差し込む範囲がベランダフェンス付近のわずかな範囲です。ある程度日陰でも大丈夫で、直射日光だと葉焼けしがちなビカクシダは、ベランダ奥の壁に掛けることにしています。この株も他のビカクシダと同じくベランダ奥の壁で管理していました。

6月中旬頃、新しい胞子葉が出てきたのですが、びろーんとな伸びしたような胞子葉が展開し、『ドワーフなのにこんな平く大きな葉がでるの?』とびっくりしました。この品種を育てるのは初めてだったので、???な感じで様子を見ていましたが、8月中旬になって3枚目の胞子葉が展開し、それが先の2枚よりキレのある締まった葉だったので、ようやく先の2枚は徒長だったのだと気づきました。💦

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf メリクロン苗
2022.08.24 徒長した胞子葉と、締まった胞子葉の違い

夏のような太陽高度が高い時期は、光は強いですが、日陰は明るそうに見えて案外暗いです。軒下の日陰で管理するよりも、直射日光の当たる場所で遮光ネットを用いて日照を調節する方がいいのではないかと思います。

日照等の条件が最適かどうかは、育てる環境によって違ってくるので、一度経験して調節しないとわかりづらいと思います。締まりのない葉が出てきたらご注意を。

朝夕チェックで、適度な水やりを心掛ける

水やりって難しいですよね。水やりのやり方も量も頻度も、育てる環境で違ってくるので、自分で試行錯誤するしかないのですが…。

特に夏場は、必ず朝と夕方にミズゴケの乾き具合や葉の様子を見ています。状態を見て、じょうろで水をかけてやったり、霧吹きだけで済ませたりとしています。水が少なすぎると生長が阻害されてしまうし、過剰だと貯水葉を枯らしたり、蒸れて根腐れさせたりとトラブルを引き起こします。葉の育ちを見ながら、朝夕チェックするようにしています。

打ち水で気温の上昇を抑え、空気を対流させる

ベランダなどコンクリート部分はかなり熱を持ちます。建物自体に熱がこもるので、夜になっても暑さが続きます。朝夕の水やりのついでに床や壁に打ち水することによって、気温を少し下げることができます。また、空気が対流するので、人も植物も過ごしやすくなります。

カイガラムシに注意

胞子葉、表から見ていたら全く分からなかったのですが、ふと裏を見てみたら、びっくり!カイガラムシがいっぱい。なんてことになりますのでご注意ください。💦

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf 胞子葉 カイガラムシ

我が家では、歯ブラシやつまようじで取り去り、ティッシュで拭き取ったりした後、ベニカXファインスプレーを噴霧しています。一度ではなかなか駆除できないので、辛抱強く対処しています。

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育ちの様子

2021年11月

胞子葉が活発に出て、ビジュアル的にかっこいい雰囲気です。ですが、株の向かって左上にも脇芽があることに気づきました。購入時はわからなかったんですけどね。胞子葉の出方に何となく違和感はありました。よく見れば、2つの生長点から胞子葉が出ているんですよね。

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf 成長点が複数 分頭
2021.11 成長点辺りに違和感…ひょっとして成長点2つ?

分頭と子株の違い

ビカクシダは、他のシダ類と同じく、這う様に伸びる茎(根茎)から直接貯水葉と胞子葉が出ます。根も茎から出ています。生長点が動くと言いますが、茎少し伸びて次の葉が出るので生長点が動くように見えます。

茎は一本の場合は、成長点は一つですが、枝分かれすると複数の生長点ができます。根の先端に子株(POP)ができるのと異なり、枝分かれで複数になるのを分頭と呼んでいると思います。要するに脇芽ですね。コロナリウムは、わりと分頭するビカクシダのようですね。枝分かれなので成長点が近接してます。当然ながら遺伝子は分頭も子株も同一です。

分頭した場合どうする?

片方潰してしまうか、このまま育てるかですね。生長期でない時期の株分けは両方の芽を弱らせる可能性があります。また近接しすぎている場合は、切り分けるのも難しいですよね。どちらかが小さく片方の貯水葉に飲み込まれそうな場合は、育ちが悪い方を潰してしまう方法があります。

2021年12月

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf 成長点が複数 分頭
2021.12 2つの貯水葉が背中合わせで生長始めた
コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf 成長点が複数 分頭
下の大きい芽の貯水葉のほうがわずかに後で出たため小さい。

我が家のは、2つとも貯水葉が背中合わせになってせめぎ合っている状態でしたが、今は、上の芽の貯水葉が下の貯水葉を包み込んだ状態で、更にもう1枚貯水葉が出てきました。これからどうするのか興味深々で見ています。なのでこのまま育てて様子をみます。そのうちそれぞれ茎が伸び、成長点か離れていって、それぞれの根もしっかり出たら分けたいなと思っています。

2022年01月

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf 成長点が複数 分頭
2022.01下の貯水葉を上から包み込み、まるでクラゲのような形に

その後、下の芽から新しい貯水葉が出てきて、下の芽の方が形も整っていることから、下の株を優先させることにしました。それで上の株の羽交い絞めを解いてやりました。

2022年05月

解き放たれた下の株は、それから何枚か左右に貯水葉が展開し、下の写真のように見た目整いつつあります。

コロナリウム フィリピネス ドワーフ Platycerium coronarium Philippiness Dwarf

上の芽はどうなったかというと…

コロナリウム フィリピネス ドワーフ Platycerium coronarium Philippiness Dwarf 成長点が複数 分頭

その後も同じ方向に2枚貯水葉を展開し勢力挽回しようと頑張ったのですが、押しやられしまいました。でも胞子葉を出しています。虎視眈々と機会を狙っているようですね。

分頭している場合、片方を潰してしまったほうが、もう片方の生長にはいいと思います。どんな植物でも、脇芽が多いとその分エネルギーも分散されので、頂芽一本に集中させたほうが効率がいいですから。

まあ、このまま上の芽は枯れてしまうか、どこかで思わぬ展開があるのか、もうしばらく観察したいと思います。

2022年07月

様子をみていた上の芽は、枯れてしまいました。残念ですが仕方ないですね。分頭については、ここで終了です。

さて、次に発生した気がかりは、夏の胞子葉についてです。胞子葉のターンになって生えてきた葉は、キレがなく大作りです。フィリピネスドワーフってこんな感じ?とびっくりしましたが、この品種を育てるの初めてなので様子を見ることにしました。

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf メリクロン苗
2022.07.12

2022年08月

2枚目の胞子葉もびろーんとした感じです。ですが、3枚目出てきているのはちょっと様子が違い締ます…。

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf メリクロン苗
2022.08.10

そして、上の写真から2週間後、下の写真が3枚目の胞子葉が展開した様子です。先の2枚と全然違いますよね。シャープでキレがよく、これですよ!これ!って葉です。

コロナリウム フィリピネス ドワーフcoronarium Philippiness Dwarf メリクロン苗
2022.08.26

置き場所も水やりも変えていないので、なにが違うのか考えてみれば、太陽高度です。陽が徐々に低くなっていて日照が変わっているのです。夏至前後は、陽が高くてベランダのような軒下では、陽が差し込まないので、この株には少々暗くて、徒長してしまったのではと考えています。陽は夏至を過ぎると徐々にベランダ内側に光が差し込んできます。来年の夏至辺りは、管理場所に気を付けようと思います。失念しないようにしないとですね。


我が家では、 フィリピネス ドワーフの他にも7種類のビカクシダを育てています。育て方などの記事も書いているのでよかったら見てください。

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