パキポディウム・ブレビカリックスの育て方/育ちの記録

〔2023.08.05〕夏真っ盛り。ブレビカリックスは絶好調です。最近の様子はこちらです。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
パキポディウム ブレビカリックス 2023.08.05
Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
パキポディウム ブレビカリックス 2023.03.16

2021年7月にパキポディウム・ブレビカリックスの未発根の現地球(ベアルート株)を入手し、自宅で発根させたものを育てています。枝サンゴのように分岐し横に広がって生み出すフォルムは、とてもユニークです。丈夫で育てやすいのも魅力です。

パキポディウムは、冬場室内で管理することが多いですが、なるべく自然のサイクルを狂わせないように育てるといいように思います。

我が家の育て方や育ちの様子をご紹介します。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
パキポディウム ブレビカリックス

尚、ベアルート株の購入時の注意と発根のさせ方・管理については、別記事がこちらにございます。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
ベイルート株 発根管理
ベイルート株の発根管理

また、パキポディウム・グラキリスの実生株も育てています。グラキリスの栽培記録については、こちらに記事がございます。ご興味がございましたら、ご覧ください。

パキポディウム・ブレビカリックスとは?

ブレビカリックスは、デンシフローラムの変種、あるいは同種の別名とされています。いずれにしても、とてもデンシフローラムに非常に近い種であるようです。

マダガスカル中央部の高原地帯、花崗岩が露出した小高い山に自生しています。

グラキリスやブレビカウレに比べると流通量は少ないと思います。ベイルート株とは、抜き苗のことで、現地から掘り起こし、土を取って根を切った状態で輸出入されます。未発根の状態で入手し自分で発根させるか、発根させたものを手に入れるか、どちらかですね。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス

ブレビカリックスの育て方

我が家では、国内実生のグラキリスと、現地球のブレビカウレ(‘恵比寿笑い’)を育てていますが、ほぼ同様の方法で管理しています。原生地の標高でいえばブレビカウレがもっとも高い所に自生しているので、蒸し暑さにはやや弱いようですが、ブレビカリックスは暑さにも強いです。マダガスカルの高原や山岳地帯は温帯で、乾季雨季に分かれた気候で、日本よりも暑さも寒さも穏やかな気候ですが、日本とは全く環境が異なるわけではありません。実際、春や秋はわりと近い気候になります。それに多少違っても、植物は馴化もしますし、慣れてしまえば、パキポディウムの育て方は案外シンプルです。

  • 水はけのよい粒状の土に植え付ける。
  • 一年を通して、直射日光に当て、風通しの良い場所で管理する。
  • 気温15℃下回るのを目安に、夜間は室内で管理するなど防寒対策をする。
  • 気温に応じて水やりの頻度を変える。

簡単に言えばこの4点です。下に詳しく書いていきます。

植え付ける用土・肥料について

我が家では、超硬質焼成培養土エクサゴノの小粒を使っています。

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塊根植物に使われる土は、一般的に赤玉土・鹿沼土・日向土・ゼオライトなどなのですが、経年劣化すると壊れやすく、一年に一度程度は植え替えしないとかえって水はけや通気性が悪くなってしまいます。焼成された用土は、焼成していない土と比べれば保水性は落ちますが、粒が壊れにくく、優れた排水性と通気性を保ちます。

我が家では、収納の点から色んな種類の土の在庫をたくさん持ちたくないので、超硬質焼成された高品質の土を丁度よい比率で配合している培養土は使い勝手がとてもいいです。

超硬質焼成有機バイオ肥料を混ぜ込んだものもありますが、肥料を自分で配合したい場合は、無肥料のものを購入すると別袋で肥料も付けてくれるのでこの点も嬉しいです。発根管理の場合は、根が出てくるまでは無肥料→発根したら肥料添加といったことにもうまく対応できます。

パキポディウムはもともと岩が露頭した丘陵の植物なので、肥料はほとんど必要ありません。緩効性肥料を少量混ぜてやれば十分だと思います。

育てる環境

できれば、直射日光をいっぱいに受ける全天で管理するといいと思います。あいにく我が家はベランダで育てているので全天にはなりませんが、軒下でも南向きで陽が入るので、もっとも陽が当たりよく、日照時間の長い場所に置くようにしています。春~夏の時期はもちろんですが、夕方~明け方までの夜間が15℃以下になる冬期でも、晴天の日には朝から陽の当たる場所に置いています。

風通しも重要です。夏場は、暑さには強いですが、鉢に熱がこもり根回りが蒸れないよう通気性を高めてあげる必要があります。また、風通しが悪いと菌や害虫が繁殖しやすくなります。

コナカイガラムシに注意

カイガラムシは風通しが悪い陰の部分にいつの間にか繁殖するので、特に冬場の室内管理時はカイガラムシが付きやすいのでご注意を。用土にオルトランを散布して予防するほか、付いてしまったら、こまめに歯ブラシやピンセットやティッシュで拭き取るなどした後、ベニカXファインスプレーを使っています。尚、冬場完全に落葉すれば一旦収束すると思います。

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15℃を目安に冬越し対策

寒さには弱いので、我が家では15℃を目安に室内で管理するようにしています。マダガスカルの最低気温は8~10℃なので、それくらいまでは大丈夫だと思います。15℃は生育に適した気温の最低ラインですね。ただし我が家のある首都圏では、冬場は晴天が多いため、冬場でもベランダに出して直射日光にあてています。また、日照時間も長い所がいいですね。

室内管理は自然のサイクルを狂わせる?

しかしながら室内管理は、日照時間などの自然のサイクルを狂わす原因となり、萌芽の時期が遅れたり、花芽が形成されないなどの原因になると思われます。

我が家は、リビングダイニングで管理しているので、夜遅くまでライトを付けています。2021年~2022年の冬越しは、見た目は順調そうなのですが、明るい時間が長い環境だったので、春になりベランダ管理に替えると、日照時間が短くなってしまい、植物の体内時計が狂ってしまったようです。ブレビカリックスの2022年の芽吹きは、なんと8月になってしまいました。

ですので、2022年~2023年の冬越しは、朝から夕方までは、出来るだけ陽に当て、日の入りとともに室内に取り込み、段ボールなどを被せて自然な夜の時間を作りました。短日処理で行う方法です。短日処理は年明けから2月中旬くらいまで行ってみました。3月に入り、4月~5月の陽気の暖かい日があったものの、3月の中旬、芽吹きはじめました!効果があったとみているのですが、どうでしょうか。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
萌芽

パキポディウムは、長日植物?

今年は冬の管理を自然のサイクルになるべく合わせてみましたが、花芽は形成するでしょうか? 結果を見るのはもうしばらくかかりそうです。

植物には長日植物・短日植物・中性植物という分け方があります。

長日植物は、暗さがある一定の時間より短くなれば花芽が形成される植物で、自然では日が長くなると花芽が形成されます。

短日植物は、暗さがある一定の時間より長くなれば花芽が形成される植物で、自然では日が短くなると花芽が形成されます。

中性植物は、日長時間に関係なく、花芽が形成される植物です。中性植物は、熱帯のものに多いようです。また品種改良などで四季咲きのものもこれに当たるようです。

植物が夜の長さで季節を感じ取るのは、夜の長さは変動がなく安定しているからです。気温は暖冬のときも冷夏のときもあり、年によって変動しますよね。

パキポディウムの花期が6月~初夏で、年に一度しか咲かないことを考えれば、長日植物である可能性は高いですよね。日の入りとともに暗闇作って短日処理をした効果がでたら嬉しいです。そして、長日植物は、長日になる前に一定期間寒さに晒されることも必要なのですが、マダガスカルの最低気温が8~10℃なので、日本では、夜間室内に入れるだけでこれは達成できそうです。

室内管理で自然のサイクルと同じように育てるのは骨が折れますが、生活の場と切り離した部屋や温室なら、意識せずとも達成できそうです。

水やり

塊根植物は、塊根部が十分に水分を貯えていると硬くなり、貯えが少なくなると軟らかくなります。基本的には、軟らかくなっていると水やりします。

ですが、萌芽から秋口まで、土が乾いていると水やりしています。気温が高い夏は、気温の穏やかな夕方に水やりしています。

秋から冬場については、徐々に水やりを控えます。寒くなると落葉し始めますが、完全に落葉させて断水し休眠させる方法と、休眠させずに頻度を減らしても水やりする方法とあります。我が家では断水せずに、1月~2月は、月に1~2回程度水やりしています。休眠させなくても、葉は徐々に落ちていき、萌芽の頃には、ほぼすべて落葉します。

育ちの記録

2021.07 ベイルート株の入手、発根管理

入手時の注意、発根のさせ方、発根管理についてはこちらに別記事があります。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
ベイルート株
2021.07.16 ベイルート株入手

2021.08 発根 植え付け

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
発根
2021.08.11 発根を確認

2021.09 

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
2021.09.16

植え替えから約1か月経ちました。少し押しても株がぐらつかず、しっかりと根が張ってきた様子です。葉も生き生きとして勢いが出てきました。それでも茎を触ってみると先の方はまだ柔らかいので、根が十分に張って水分が行き届くまでもうしばらくかかりそうです。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
真上から

2021.12

最低気温が15℃下回るころには、夕方から夜の間は室内に取り込みますが、日中は日の当たる場所で育てます。ベランダの直射日光の当たる場所は、20℃以上に上がります。気温を見ながら15℃以上になると外に出し、16時くらいになると室内に取り込みます。

冬越しについて

冬期でも、晴天の日はできるだけ日中ベランダに出して陽に当てるようにしています。やはり、室内はいくら陽の差し込む窓際でも、屋外と比べると照度は低いです。照度計で計ってみると、ベランダ軒下の陽の当たる場所は、50,000 lux前後ありましたが、室内窓際は、28,000 lux前後でした〔2月初旬晴天の日〕。

葉は少しずつ落ちていきますが、休眠せずに冬を越します。なので、断水していません。ただし、水やりの回数は減らしており、様子を見ながら与えています。だいたいですが、2週間に一度くらいのペースで水やりしています。パキポディウム・グラキリスも同じように冬越しさせてきました。

ただし、晴天でも風がある日などは、室内の窓際の陽が差し込む場所で管理しています。

パキポディウム・ブレビカリックス 冬越し
室内の管理環境
パキポディウム・ブレビカリックス 冬越し

窓を閉め切ると、晴天の日は30℃超え、室内は南国のようです。室内でも窓際は、28,000 luxあるので、照明設備は使わなくても、そこそこいい環境だと思います。窓は紫外線カットされているからか、色々植物置いていますが日焼けはしないですね。

パキポディウム・ブレビカリックス 冬越し
12/24 室内の温湿度 32.7℃ 、30%

我が家は、窓ガラスに日本板硝子さんの高断熱真空ガラス『スペーシア』を入れています。冬は結露もせず、夜から早朝の窓の近くも外の冷たい空気が伝わらずヒヤッとしません。上の写真の温湿度計はいつもこの窓際の台の上に置いていますが、外がかなり寒い日も夜間10~15℃くらいに落ち着いています。〔注:我が家の場合で、効果は環境によると思います。〕

スペーシアについては、こちらに記事がありますので、よかったら見てください。

2022.03

パキポディウム・ブレビカリックス 冬越し
2022.03.10

春めいてきました。最後の一葉だけ残っていて、もうすぐそれもとれると思いますが、無事冬越しできたようです。昨年の晩秋くらいまでは、幹を軽く握るとまだ軟らかさが残っていたのですが、今はパンパンで硬いです。しっかり根が張ったようですね。全体に元気でみずみずしい状態です。我が家の環境にも慣れてくれたようですね。

2022.08

パキポディウム・ブレビカリックス
Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
2022.08.15
パキポディウム・ブレビカリックス
Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
2022.08.15

3月に付いていた最後の一葉は、6月くらいに落葉しました。我が家が育てている他のパキポディウムは6月には葉が出るのですが、今年は7月に入ってからでした。今年は6月下旬まで晴天の日も少なく気温も低いと感じていたので気候の影響だと思うのですが、8月の今になってようやくブレビカリックスの葉が出てきました。株自体はしっかり硬くがっちりしているので心配はしていませんでしたが、8月になるとは思いませんでした。ブレビカリックスは、グラキリスやブレビカウレに比べて、更に強い日照が必要なのかもしれません。陽に当てているとはいえベランダの軒下なので、全方向から光が当たっていないので、来年の生長期は置き場所を工夫したいと思います。

また、冬越しの仕方に問題があったかもしれません。室内で管理している場所は、生活の場でもあるので、夜遅くまでライトを付けています。冬の室内の気温の最高最低気温は、30℃~10℃くらいなのでパキポディウムが自生しているマダガスカルの高原地帯とさほどズレがないのではと思いますが、ライトのせいで夜が短く、自然のサイクルと比べるとかなり狂っています。この冬は、日の入りとともに段ボールで覆い暗闇を作るように工夫してみます。

2023.03

3月の中旬に芽吹いてきました。今年はすこぶる早いです。3月に入って暖かくなりましたが、それにしても早いと思います。上の項に書いたように年初~2月中旬まで日の入りと同時に段ボールで覆い、夜の時間を自然のサイクルに近づけました。それが功を奏したのなら嬉しいです。

パキポディウム・ブレビカリックス
Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
2023.03.16 萌芽

ですが、3月中旬からこれから先、曇天や雨天が多そうです。日照時間が短くなるので、ひょっとしたら一時生長が停滞するかもしれません。せっかく芽が出てきたのに…。

パキポディウム・ブレビカリックス
Pachypodium densiflorum var.brevicalyx

2023.04

3月~4月は曇り空も多いので、日照は今一つの季節です。育ちが一時止まってしまうのではと心配でしたが、次々と先端から芽が吹いて新葉が出てきて一安心です。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
2023.04.05
Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
202304.05

ブレビカリックスに比べたら、ブレビカウレ(恵比寿笑い)の方が標高の高い位置に原生しているので、ブレビカウレ(恵比寿笑い)の方が、早い時期から芽吹き、生長も早いのではと思いますが、ブレビカリックスと芽吹きはほぼ同時、葉の生長はブレビカリックスのほうが早く旺盛です。やっぱり、ブレビカリックスは丈夫で馴化もしやすいのでしょうね。

2023.05

太陽高度がどんどん高くなって、ベランダに光が入りにくくなってきています。この季節、直射日光が入るのはベランダのフェンス付近だけです。今年の夏至は6/21なので、まだまだ狭くなりますね。何とか直射日光が当たる所でパキポディウムを管理しています。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
2023.05.27

上からみると放射状に葉が生えてかわいいです。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
2023.05.30

全部の枝に葉が生えるように、株を回して陽に当てています。我が家のベランダでの経験的なことなのですが、どんな植物でも、一つの株のなかで南東方向の枝が芽吹きも開花も一番早いです。光が株全体に当たっていても、南東方向が一番早いのですよ。今は、まだ今年の葉が出ていない最後の枝を南東方向にしました。

わずかな違いでも優先順位が出るんですよね。ベランダの軒下なので、光の方向や日照時間などによってそうなるのかも。全天だったらどうなのでしょうか。

2023.08

葉の付いていない枝を南東方向に向ける作戦で、枝全体に葉が付きました。今年も元気に夏を迎えました。

Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス
Pachypodium densiflorum var.brevicalyx
パキポディウム・ブレビカリックス

パキポディウムは、上からみても、放射線状に広がる葉がカッコいいですね。品種で葉の丸みに違いがあって面白いです。

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