2021年7月、パキポディウム・ブレビカリックスのベアルート株をネットで購入し、発根させました。ベアルート株とは、抜き苗のことで、現地から掘り起こし、土を取って根を切った状態で輸出入されます。株は未発根なので、入手後は、自分で発根させて育てることになります。
我が家では、パキポディウム・グラキリスの実生を栽培中ですが、ベアルート株を購入するのは初めてです。ブレビカリックスは、とてもユニークな形態が気に入り育ててみることにしました。心配事は、いい株を入手できるかどうかと発根するかどうかということですね。
我が家は、観葉植物を挿し木によって多数発根させています。パキポディウムも植物なので、発根に必要な条件は同じだと思います。ただし、輸入なので、採られてから日数が経っていることや、ネットなどの画像の判断では、中にダメージがあるかどうか状態がわからないことなどリスクもあります。
我が家の入手から発根までについて、我が家の方法をまとめてみました。
尚、パキポディウム・グラキリスの実生の栽培記録についてはこちらに記事がありますので、ご興味があればご覧ください。
ベアルート株を購入する際のリスク…発根するかどうかわからない
見た目だけでは発根するかどうか判断するのは難しいです。見た目わからなくても、触ってみたらペコペコしていたり、切ってみたら腐っていたりということがあります。
芽や葉が出てきているものも、生きている証にはなりますが、必ずしもうまく発根するかの証にはなりません。塊根植物は、十分に水分が蓄えられているので、光や温度の条件が合えば根が無くても葉が出てきますし、発根してなくてもしばらくは葉を大きくできるくらいのエネルギーはあります。
実際に発根するかどうかは、購入後に発根させるところをカットして、みずみずしく、きれいであれば、発根する可能性が高いと思われますが、絶対はありません。購入時にはリスクがあることを覚悟しておかなければなりませんね。
入手時の注意点
実物を見て購入
一番よいのが、実物を見て購入することです。しかしながら、専門店や大きな園芸店では扱っているところもありますが、欲しいと思う株があるとは限りません。それに、触ってみれば中の状態もある程度推測できますが、人が触るということは植物にとっては大きなストレスなので、むやみに触るのは避けるべき行為だと思います。ただ目で見るだけでも、写真で見るよりは情報量は多いです。ネットでの販売やオークション、メルカリといったところが入手するのに便利ですが、画像判断や販売者の信頼度での判断になってしまいますので。
できるだけ新鮮な苗を購入
植物の苗は、採ってから新しいほど、そして若い株ほど発根しやすいです。塊根植物は、中に十分水分や養分を貯えているので、根がない状態で輸入しやすいのですが、その状態で長い間置かれていたり、保存環境がよくなかったとすれば、カビたり中が腐るのも想像できることですよね。ヤフオクなどでも、いつ輸入されたものか日にちを書いているもののほうが、いつ輸入したかわからないものよりもずっと安心ですね。説明や画像など、信頼できる販売者さんを選び、できるだけ新鮮な株を入手しましょう。
株の見極め
これは、とても難しいと思います。先ほど書いたように絶対はありませんから。
ネットの場合は、信頼できる販売者の方や説明がしっかりしている方を選びます。画像判断では、色や樹皮の張りも判断材料の一つですし、できるだけ不自然なシワがないものを選びます。フォルムが好みかどうかも重要ですよね。
我が家では、見た目健康にみえる他に、生長点がわずかに若草色が見えてきていて芽が出てきそうだなってくらいの株を選びました。葉が出てきているのは、輸入して時間が経っている可能性があります。それに、葉は生きている証ですが、葉から水分を蒸散させるので、発根していない株に葉が生えてくると、水分を補給できないのにどんどん水分が出て行ってしまいます。塊根植物は、水分や養分の貯えが多いですから発根してなくても成長期は葉が出ます。発根管理開始は、葉が出ていないくらいのほうがエネルギーが豊富といえますよね。
発根作業は生長期が簡単
夏型植物の場合は、やはり成長期の夏期に発根作業をすると失敗が少ないです。パキポディウムは夏型の塊根植物ですね。寒くなると休眠に入り水を吸わなくなります。寒い時期の発根は、用土などを加温したり、それなりに環境を整える必要がありますが、生長期なら、植え付けてしばらく置いておくだけで、健康な株は発根するので、発根作業は、生長期に行うのがいいと思います。生長期の初め頃に発根させて、秋には根がしっかり張って安定している状態がいいのではないでしょうか。
発根のさせ方
入手直後
触った感じも張りがあり硬いです。いい株でほっとしました。
根の当たりもペコペコしたところはなく張りがあります。
発根したか気づきやすいように透明の容器に植えます。プチトマトが入って販売されているプラ容器です。プラ容器の底に目打ちで穴をあけておきます。12か所開けています。適当です。
発根処理中は、株が動かないように固定します。ぐらつくようであれば、株と植木鉢を紐で縛るなとして固定するといいのですが、今回は、プラ容器の縁に株が安定して乗っかっているので、このまま縛って固定せずに、そのまま動かさずに置いておきます。
植え付け前の下準備
①株の根の部分に塗られている硫黄を水で簡単に洗い流し、やさしく拭いておきます。
②アルコール消毒して乾かしたカッターナイフで数か所傷をつけます。発根を促すために、発根させる箇所を傷つける必要があります。
そこで、もともと根が付いていた部分を切り落としました。切った時茶色くなっているところは、きれいな色になるところまで切ります。この株は、少し切っただけできれいでみずみずしい状態でした。いい株を購入できたようです。
③切口の殺菌・消毒
切口を殺菌します。我が家では、便利なベニカXファインスプレーを使いました。塊根植物の場合、傷口から菌やカビが入り、腐る危険性が高いので、殺菌・消毒はとても重要なポイントです。
④発根促進剤を塗る
ルートンを水で練ってペースト状にし、切口に綿棒で付着させます。つけなくても発根するのですが、できるだけ早く、しっかり発根させるために使ってみました。
⑤植え付け
用土にはエクサゴノの肥料無の小粒を使いました。また、軽石のかわりにハイドロカルチャー用の木炭を鉢底に入れています。木炭は、多孔質で水持ちもいいし殺菌効果もあるので、発根管理にもいいですね。エクサゴノはいい土ですが、お値段もいいので、木炭で量増したともいえます?
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余談ですが、プラ容器の底はフラットなので、穴から出た水がちゃんと流れ出るように水はけ用のマットの上にのせて管理します。
発根管理
2日後には、芽が出てきました。
透明容器での発根管理のメリットは、土の表面から底まで水分チェックが容易な点です。中まで土が乾いてきたら、底から水が流れ出るようにたっぷりと水やりします。
太陽ガンガン大好きなパキポディウムですが、発根管理中は、直射日光と熱波を避けた、涼しい明るめの日陰で管理しました。容器を動かさず、様子を見て水やりするだけで放置します。
約4週間で、根が出てるのが確認できました。根が縁まできているので、植え付けから2~3週間で発根していますね。
この段階で、もう鉢に植え替え可能なんですが、鉢選びに時間かかって、植え替えは1週間後になりました。
株の植え替え
これから鉢に植え付けます
開けてみると、しっかり発根してました。いい感じです。
枝ぶりと鉢の大きさからいい位置を決めます。
枝が鉢に当たらないように、柔らかいものを挟み調整します。ティッシュを丸めて使っています。
用土は、エクサゴノの肥料の入ったデフォルトの小粒で植えています。
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鉢は、形や大きさ、デザインは、とても気に入ったのですが、鉢の色がブレビカリックスの幹の色と同化するぐらい自然な色だったので、もちょっと鉢の存在感を出すために鉢を水性ペンキの黒で少し汚してみました。ティシュを丸めてたたくように色付けしてます。好みの問題だけですが、鉢に手を加えるのもガーデニングの楽しさの一つですね。
尚、我が家では、主にプラ鉢ですが、アクリルカラーを使って鉢をリメイクして使ったりしています。鉢のリメイク・ペイント方法について、こちらに記事がありますので、よろしければご覧ください。
パキポディウムは、ワシントン条約の規制対象種
ところで、パキポディウムは、現在、ワシントン条約〔CITES〕の規制対象種で、附属書Ⅱに入っています。附属書Ⅱとは?
附属書Ⅱ
現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが,その標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となるおそれのある種又はこれらの種の標本の取引を効果的に取り締まるために規制しなければならない種。輸出国の許可を受けて商業取引を行うことが可能。
ワシントン条約 外務省
ネット販売やオークション、園芸店などでも、輸入された未発根の現地球〔現地の野生の株〕で入手できますが、絶滅のおそれのある種です。
責任と愛情を持って、育てたいと思います。
育ちの様子
植え付け後の育ちの様子は、こちらに別記事がございます。ご興味がございましたらご覧ください。
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