〔2023.06.15更新〕今年もキングスターが咲きました。6月初旬から咲き始め、ピークを迎えました。
タキタス・キングスターは、大きくて鮮やかな深紅の花が咲きます。花の径は4.5㎝あり、その美しさは多肉植物でも屈指ではないかと思います。もともとはタキタス属のベルスという一属一種の品種があります。ベルスは、メキシコの山岳地で発見されたということなので、ベルスの園芸種がキングスターということなのでしょうか。しかしながら、タキタス・ベルスとキングスターは、同じものとして流通しているようです。また、今ではタキタス属はなくなり、グラプトペタルム属に入っています。
購入していろいろ調べていたら、ベルスがベルムになっていたり、スーパースターやチェリープリンセスなど、別名なのに同じ品種なのでは?と思うものが出てきてややこしいので、自分なりにまとめてみました。
タキタス・ベルスとグラプトペタルム・ベルムは同じ
タキタス属には、ベルスの一属一種しかなく、タキタス・ベルス〔Tacitus bellus〕という名称でした。1972年にメキシコの山岳地で発見された原種です。後にグラプトペタルム属に入れられてからは、グラプトペタルム・ベルム〔Graptopetalum bellum〕という名称になりました。ですので、ネットではどちらの名も混在していますが、同じものと考えればいいんですね。もちろんタキタス・ベルムもグラプトペタルム・ベルスも同じものです。
タキタス・ベルスとキングスターは違う?
園芸品種として、タキタス・ベルスとタキタス・キングスターは、同じものを指すようです。タキタス・ベルス・キングスターやベルム・キングスターなど、色々な呼び方が存在しています。まあ、タキタス・キングスターもその中の一つなんですけどね。原種がどのようにブラッシュアップされ、キングスターになったかは定かではないです。
花弁の数は、ベルスと同じく基本は5枚ですが、キングスターは何らかの交配の影響なのか不安定で4枚になることもあるようです。
また、ネットなどをみてもタキタス・ベルスの名のもので、花弁が雌蕊よりも薄いものがあります。ということは、タキタス・ベルスとキングスターは、やはり遺伝的にはちょっと違うものなんでしょうね。
キングスターとスーパースターの違い
スーパースターは海外で作られた園芸種だそうです。日本ではキングスターという名で普及しているとか。どちらも、雌蕊と花弁が同一の濃い赤ですので、DNAのレベルではわかりませんが、キングスターとスーパースターは、ほぼ同じものと考えてよさそうです。
キングスターとチェリー・プリンセスの違い
とてもよく似た品種にチェリー・プリンセスがあります。こちらは、タキタス・ベルスとエケベリア・ラウイの交配種といわれています。
チェリー・プリンセスの花は、キングスターよりは薄めのピンクですが、鮮やかなピンク色です。写真は少し色が薄めに撮れていますが、実物はもう少し濃い印象です。また、キングスターの花弁の形はシャープですが、チェリープリンセスの花弁は丸みがあります。
チェリー・プリンセスの名前どおり、とても可愛らしい花ですね。チェリー・プリンセスの記事はこちらにあります。よろしかったら見てください。
花の色が微妙に違うタキタス・ベルスの交配種たち
タキタス・ベルスはもとは原種で、交配や選抜によって、園芸種としてのタキタス・ベルスやキングススター、チェリー・プリンセスなどがあるということですが、タキタス・ベルスの名でもわずかに花の色が違う場合もあるようです。原種のベルスと異種の交配や、実生の選抜によって、少しづつ違ってきているのかもしれませんね。
タキタスとエケベリアの交配品種
余談ですが、前述したチェリー・プリンセスのように、タキタスとエケベリアの交配品種は、タキベリア属でしたが、現在は、グラプトベリア属に属しています。
例えば…
チェリープリンセス…タキタス・ベルス × エケベリア・ラウイ
セブンスター…キングスター〔orスーパースター〕 × エケベリア・七福神
ブルースカイ…タキタス × 七福神らしい?けど、不明です。持っていないので交配の情報のみ書いておきます。
チェリープリンセスの他、セブンスターも育てていますが、子株が出来やすくて丈夫なところがよく似ています。花も似ていますね。ただ、セブンスターの花は、キングスターやチェリープリンセスに比べると少し地味で、グラプトペタルム属の花らしい雰囲気です。
グラプトペタルム属との異種交配
今ではキングスターは、グラプトペタルム属になっています。グラプトペタルム属の良さといえば、強くて育てやすいところです。グラプトペタルム属は、エケベリアやセダムと近く、それらとの異種交配によって、互いの良さを持った優れた園芸種が生み出されています。
ついでに、簡単ですが書き出してみました。
グラプトベリア属
グラプトベリア属は、グラプトペタルム属×エケベリア属の交配種で、強さと美しさを兼ね備えています。白牡丹やデビーなどがポピュラーですね。
グラプトセダム属
グラプトセダム属は、グラプトペタルム属×セダム属の交配種で、グラプトペタルム属の強さと、セダムの繁殖力・生長スピードを持っています。例えば、シュウレイ、ブロンズ姫などがそうです。でも2種ともグラプトペタルム属に分類されていますよね。このへんもやはりもやっとするところです。
多肉植物は、ルーツを特定するのが難しい
いろいろ調べてみましたが、多肉植物は交雑種が多く、ルーツがよくわからないものが多いので、無理に分けてしまわず、そのまま受けとめておくことにしています。交配によって優れた園芸種も生み出されているわけですから。それでもやはり、時々???となってしまうので、もう少し整理されて統一していればわかりやすいのにな、とも思います。
キングスターは丈夫で育てやすい品種
1つの花の開いている期間が長く、10日前後咲いています。長く楽しめるのもいいですね。
グラプトペタルム属は、夏の高温多湿には要注意ですが、丈夫で育てやすい品種だと思います。日本ではちょうど梅雨時期に開花します。夏の水やりにだけ注意して、風通しのよいところで休眠させればいいのかなと思います。
花はとても美しいけれど、体は地味で、花期以外存在感がうすそうなキングスターですが、来年も美しい花を咲かせるために、一年間維持したいと思います。
開花の様子
〔2021年〕
つぼみが付いた状態で購入してからまだ日が浅いですが、記しておきます。
購入して、好みの鉢に植え替えたばかりです。土は『多肉・サボテン用の土』にマガァンプKを混ぜて使っています。鉢の大きさは4号鉢(径12㎝)です。
開花を予感する大きく膨らんで色づいたつぼみ。つぼみも造形的にとても美しいと思います。
花が開き始めました。
満開になりました。まだ、開いていないつぼみは8個あり、新しい花茎も一本出てきています。長く楽しめます。
〔2022年〕
今年も楽しめそうです。チェリープリンセスもかわいいですね。キングスターもチェリープリンセスも葉と花の色がよくマッチしてますね。
〔2023年〕
6月初旬から咲き始めました。キングスターもチェリープリンセスも昨年株分けしたので、株数が少ない分、出ている花茎の数は減っていますが、今年もきれいに花を付けて嬉しいです。6月中旬には初期の花がいくつか枯れましたが、ピークを迎えています。華やかです。
コメント
こんにちは!
多肉植物を4何くらい前に頂きました。
もともとガーデニングに全く興味がなく(虫が嫌いなため)頂く時も、枯らすのでいらない‥とすったもんだしながらでした。あまり目につかない窓際に置いていて、思い出したら…目についたら…枯れはじめたら…水をあげるくらいだったのですが、今年3回目の花を咲かせてくれました。去年あたりから鉢を変えたりと、すこーし罪悪感があったのですが、今年は見事に去年の倍の花を咲かせてくれて嬉しく思っております。今更ながら愛おしくなり、育ててみようと思ったのですが、名前が何か分からずネットで調べてこちらへ辿りつきました。キングスターなのかチェリープリンセスなのか…と眺めております。
もも様、
こんにちは。コメントありがとうございます。
植物は、愛情をかけて育てれば、よく育ち、きれいな花を咲かせてくれますね。
我が家も、お手入れしながらじっと待っていた花が咲いたとき、一年のご褒美をもらった気分になります。
去年の倍の数の花が咲いたらとっても嬉しいですよね。
キングスターやチェリープリンセスはとても美しく大きな花が咲くので、とても華やかです。
キングスターとチェリープリンセスは、よく似ています。
キングスターとチェリープリンセスを実際に見比べるとわかりやすいのですが、どちらか一種を見てどちらかと判断するのは、難しいかもしれませんね。
形がシャープか丸いかも程度の問題なので難しいですよね。やはり色味が一番判断しやすいかと思います。
赤味が濃いのがキングスター、コスモスのようなピンクがチェリープリンセスです。
また、葉の色は、まったく違うので判断しやすいと思います。
葉が赤茶けて濃いのがキングスター、紅葉していない状態で淡いブルーグレーな色の葉ならチェリープリンセスです。
画像も、光の加減によって実物と色味が違って撮れることも多いです。
我が家はできるだけ見た印象に近い色になるよう撮影しているんですが、参考になれば幸いです。