春や秋は、ハオルチアの生長期ですので発根しやすく、胴切りをするにもいい季節です。胴切りとは、上の写真のようにテグスやナイフなどを使って苗を2分割して、どちらも生かす方法です。下部は新芽が複数出ますし、上部は発根させて育てます。
大抵のハオルチアは胴切りして問題ありませんが、錦(斑入り)の胴切りについては、希望通りの結果にならないこともあります。我が家で胴切りの実例から、胴切りの方法と注意点についてまとめてみました。
どんな場合に胴切りする?胴切りのメリット・デメリット
- 徒長や生長してバランスが悪くなった場合の仕立て直し
- 錦の生長点が全斑や斑抜けになってしまった場合の仕立て直し
- なかなか子吹きしない品種を増やす
我が家は、大株に育てるのが好きなので、最大径になって積み重なってきた場合や、鉢よりも大きな径になり扱いにくくなった場合は、胴切りしています。
ですので、増やす目的で胴切りをしていないのですが、胴切りで出る芽は、葉挿しと比べると、やはり葉が大きく生長が早いですね。一度に数個の芽が出てくるのでせっかちさんにはぴったりです。初めての場合や高価な苗を胴切りするのはなかなか勇気がいるものですが、切口を完全に乾かして清潔に保てば、芽吹きや発根させることはそれほど難しいことではありません。
徒長や生長してバランス悪くなった場合の仕立て直し
我が家では、株の径が最大になった場合、それ以上大きくならず積みあがっていくようになると、胴切り対象にしています。下の画像の紫オブツーサは最大径になってから、積みあがってきています。団子のように丸くなると見た目も良くないので、昨年の秋に胴切りしました。
胴切り後半年の状態が下の写真です。向かって左が、苗の下部で5つ芽がでて育ってきています。向かって右が、苗の上部です。もちろん既にしっかり根付いています。早い苗なら2週間もあれば発根します。特にオブツーサ系で青(斑入りでないもの)は、早いですね。
下部の芽は今の段階でも分けて発根管理でも大丈夫ですが、それぞれに根が出てくるまで置いておこうと思います。そのほうが、植え付けもスムーズなのでそうしています。
また、株の径が、鉢の径を上回るようになると扱いにくくなるので胴切りするというケースもあります。
錦の生長点が全斑や青になってしまった場合の仕立て直し
また、錦の斑は不安定なものも多く、生長点から葉緑素が消失して全斑になったり、反対に斑が無くなって青に戻る場合があります。胴切りは、切断した部分の葉の斑の状態を引き継いて芽をだすので、数個の芽のうちには、好みの斑入りが出来る可能性があります。そうはいってもなかなか良斑になるものは少ないですね。それでも放っておいても元には戻らないので、胴切りに望みをかけることになります。
下のスプレンデンス系の錦は、生長点が全斑になりそうなのと、積みあがって形が崩れたことで、胴切りすることにしました。こういうのは、隙間が大きくて簡単にテグス入れられますね。
上部は生長点が全斑と思われるので、生長は期待できません。それでも多少葉緑素が残っているので発根管理をしてみました。
下の画像の向かって左(下部)は、わりとすぐに芽がでてきましたが、下の画像の向かって右(上部)は発根するまで3か月かかりました。半年経った現在も発根はしたものの根はあまり伸びず生長できません。もうちょっと様子を見ますが、先は短いでしょう。
芽は画像では見えない所含めて5つ出てます。中心の白いのはどうやら全斑です。残り4つは錦ですが暫定的な判断です。このまま良斑になってくれればいいのですが、錦と呼べるものになるのはおそらく1つあればいいでしょう。
というわけで、お持ちの錦が良斑の場合、増やすために胴切りするのはおすすめできません。胴切りで出てきた芽が同じように良斑である確率は低いからです。まあ、上部はそのまま残るので、知った上でのチャレンジというのもありますから、そこは自己判断ですけどね。
葉の表全体に葉緑素が練り込まれたような糊斑は、安定して糊斑の芽がでるかも
糊斑の中でも、全体に葉緑素が練り込まれたような糊斑の場合は、胴切りしても、同様の糊斑が出る確率は高いようです。
うまくいくのは、葉の表裏も葉緑素が練り込まれているタイプです。全体に葉緑素が練り込まれ、ぺールグリーンに見えます。我が家のミルキーウェイは、そんな感じなのですが、胴切り後出てきた芽は多数ですが、どれも同質のもので割といい感じです。
もともとこの株を胴切りした理由は、径が大きくなりすぎたことです。径11㎝の鉢(画像向かって左)よりも大きくなりはみ出したので、ダメ元で胴切りしました。ですが、思った以上に上部の根付きも早く、下部に出てきた芽もミルキーウェイらしい糊斑の芽ばかりという以外な結果になりました。
やはり、全体に均一に葉緑素があるというのがポイントのようです。
このようなタイプは、胴切りしても、同質の性状を引き継ぐようですね。
胴切りで芽が出る場合、芽が出来る位置の葉の斑の状態に左右されます。上項のスプレンデンスのような縦縞に斑が入るものは、斑の部分の付け根から出た芽は全斑に、緑の部分の付け根から出た芽は緑になるといった傾向があります。ですので縦縞に斑が入るタイプから斑入りの芽が出来るのは、ちょうど両方を含む部分から生えてくる芽でなければならず、ちょうどいい塩梅の斑になるのは難しいんだろうと思います。そう考えると大柄よりも細かく斑が入っている方が、斑入りの芽が出来やすいということになりますね。
同様に、細かく練り込まれたような均一な糊斑の付け根から出る芽は、同じく均一な糊斑になりやすいのだと思います。
尚、白蛇伝のように葉表が真っ白で、葉裏に葉緑素があるタイプの糊斑は、胴切りで同質のものができる可能性は低いのでご注意を。上の理屈でいうと真っ白な全斑になりやすい気がします。また、芽が出るところの細胞の情報をどう拾うかわからないので、葉表に縦縞が出たりすると白蛇伝ではなくなりますよね。
胴切りの方法・手順
細目のテグスを使う
我が家では、細めのテグスを使っています。締めて作ったオブツーサなどの詰まった葉の隙間にも入るよう0.16mmのテグスを使っています。大きめのレツーサ系のものなどは、葉の間にテグスが入っていきやすいので、その場合は0.25mmなども使っています。
鉢から抜かず胴切りする
我が家は、株を鉢から抜かず、胴切りしています。苗の下部の根にダメージが無いのと、植え替えの一手間がかからないという点でそうしています。
株を抜くと下記のような過程が必要になりますよね。
- 胴切りする株の水を切って土を乾燥させる
- 株を抜いて胴切り
- 切口と根を乾燥させる
- 株の植え付け
株を鉢から抜かずに胴切りすると、根を土から出すことないので、胴切りして切口をそのまま放置して乾燥させるだけで済みます。
テグスをかける位置は、一番下から数えて2~3周の上
どの位置で切断するかですが、ロゼットの一番下から数えて2周(段)より上の位置にします。2周は残しておいた方が無難です。言い換えると元気な葉が下部になるほうに残っているようにすると芽が出てきやすいです。
テグスは丁寧に奥まで差し込んで巻く
テグスを巻くのにコツはなく、ただ丁寧にテグスを奥まで押し込んで一周させることです。丁寧にすれば、葉は1枚も取れずスパッときれいに胴切りできます。奥までテグスを入れず力任せに引っ張ると葉が傷ついたり数枚犠牲になりますのでご注意を。
葉を持ち上げたり、押し下げたりして、奥まで食い込ませていきます。
全周巻き付けたらテグスを交差して、強く引っ張り、すぱっと切ります。かなり爽快です。
切れたら、このまま切口を乾燥させます。風通しの良い日陰で乾かします。水気が無くなり乾燥したら、念のため殺菌剤をスプレーします。我が家ではベニカXファインスプレーを使っています。この状態でしっかり乾燥したら、下部はそのまま通常の管理、上部は、清潔な用土の上に置き発根管理します。
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発根管理
根腐れして根が無くなったものの発根に比べたら、元気のある苗を発根させるのは難しくありません。発根管理の方法も皆さま色々あると思います。我が家での方法をご紹介します。
平らにした清潔な土の上に株を置きます。小苗で倒れるようなものは、土に挿して固定します。そして、動かさないことが大切です。発根してるか気になり、株を持ち上げたりしてはいけません。2週間程度は、じっと我慢です。
水は土のごく表面を濡らす程度にやり、土が乾いたら水やりを繰り返します。発根させるには、常に近くに湿り気があるようにしなければならないので、土の表面が乾いていれば、水やりするようにします。根を伸ばせば水分があるようにすると根が伸びます。根は吸水のほかに呼吸もします。ですので、用土も粒状のもので、隙間をつくり通気性を高めてあげるといいですね。
発根すると通常の水やりに切り替えていきます。
根腐れしたハオルチアの発根についての記事がこちらにありますので、ご興味のある方は、こちらも見てください。
取れた葉は葉挿しに
胴切りして、葉が取れてしまった場合は、葉挿しにします。もともと元気な葉ですので成功しやすいです。我が家では、取れた葉を鉢の隙間に置いて乾燥させ、その後土に挿しておくだけです。時間はかかりますが、放置しておけばいつの間にか根や芽が出てます。ともかく動かさないことですね。
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