うちでは、現在70種類くらいのハオルチアを栽培しています。心惹かれるものをぽつぽつと入手して、いつの間にか増えていました。特に軟葉系が好きです。ハオルチアは、丈夫で育てやすい植物ですが、常によいコンディションを保とうとすれば、それなりに環境を整えてやらなければいけない植物だと思います。我が家は首都圏のマンションの南向きベランダで育てていますが、高温多湿の夏が、一年のうちで一番難しいと思います 。
ハオルチアの外側の葉が溶けるように腐ったり、気が付いたら根が腐っていたりといったトラブルは、特に梅雨時期から夏に多いです。原因は、諸事情からの株の弱りや根や葉の傷みに相乗して、高温多湿で菌やカビが繁殖しやすい時期であることです。しかしながら、ハオルチアは、一か月以上も水やりしなくても大丈夫なほど乾燥に強いので、もうだめかもと思うような病気も回復する可能性が大きいです。
病気にかかった時の我が家の対処方法についてご紹介します。
尚、病気になった時の対処方や発根のさせ方など、いろいろな方法があると思います。ですので、これは我が家の場合の対処方法として読んでいただければと思います。
我が家で一番多い、根腐れの原因
購入した株〔特に抜き苗〕を植え替えした後、根のダメージが回復しきらないまま、菌が活発になる梅雨時を迎えたため、ですね。また、鉢を落として苗の根が飛び出てしまったくらいの衝撃を与えたのに、焦って飛び散った土を集めて、そのまま植え直してしまい、それから1~2か月…。根腐れ起こして、『あの時、やっぱ傷からバイ菌入ったのね』というような感じですね。
なので、
- 植え替え時は、清潔な土を使う
- 株が弱る時期・休眠期や菌が繁殖しやすい時期は植え替えしない(要するに春と秋が適期)
上の2点に加えて、
- 春の植え替えは、梅雨時までに根が完全に回復するくらいのタイミング(3月位)に行う
以上で、リスクはかなり回避できますが、菌の感染などは日和見なので、傷んでしまうときは傷んでしまいます。生き物ですし、絶対はないのです。
根腐れは気付きにくい
ハオルチアは、根腐れしていても一か月くらい平気な顔していますよね。早期に発見するに越したことはありません。次のような症状がでると、根腐れしている場合多いです。
徐々にしぼみがちになり、ツヤや透明感がない
日焼けで透明感が失われたり、水を控えていることでしぼんでいることもありますが、特に理由が思い当たらない場合は、根にトラブルがあり吸水できない状態かもしれません。また、水やりしても、通常と比べて、なかなか土が乾かない場合も根のトラブルを疑います。
急に赤みを帯びた
特に斑入りなどがわかりやすいのですが、ストレスがかかると斑の部分が赤くなります。日光や低温などのストレスの他に、根から吸水できない状態もかなりのストレスです。いつもと変わらぬ管理なのに赤くなってきたらご注意を。
株の側面を少し押すとグラグラする
しぼみがちで、ツヤや透明感がない場合は、株の側面を押してみたり、軽くゆすってみます。根が張っていないものはぐらつきます。根がしっかり張っているものは微動だにしませんので、植え替え直後でなければ、すぐわかります。ただ、ハオルチアの根は寿命が3年くらいですので、古い根が役目を終え新しい根がまだ育っていない場合もあります。いずれにしても、不安になるようなぐらつきの場合は、植木鉢から外して根を見てみることをおすすめします。
一番外側の葉が、べちょっと萎びる
葉が枯れる場合は、外の葉から干からびたように枯れていくのが通常です。水が足りない場合も外の葉からドライに枯れます。問題なのは、柔らかく水分含んでいる状態で、べちょっと萎びているケースです。葉が腐っている感じです。水っぽくってちぎれるように葉が取れます。下の写真の葉のように付け根部分の場合もあれば、葉全体の場合もあります。
危ないのはどんな場合?
素人なので病気の名前や菌を同定できないのですが、2~3枚程度じゅくじゅくした葉が出るだけでおさまる場合もあり、その場合は、問題のある葉だけを取り去り、そのまま様子を見ます。何もせず、自然治癒力に任せて問題なく終わる場合も多いです。
また、1~2枚程度、外の葉が水っぽく萎びた時点で、ピンセットでその葉をきれいに抜き取り、抜いた隙間に殺菌剤をスプレーすると、それで治まる場合もあります。抜いた部分の茎・根元・土に殺菌剤を噴霧するイメージです。初期の傷みが局所的な場合ですが、これで進行が止まるケースも多いです。我が家では、ベニカXファインスプレーを使っています。
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株をどのくらいまで土に埋めるかは、好みがあると思いますが、土と外葉が接さない程度の隙間が空いてるほうが、トラブルが起きにくいと思います。腐りなどが起きるのは、だいたい根の付け根が多いです。
何枚も溶け続けると危ない
ただ、気が付かずに傷みが進行している場合も多いですよね。
上の写真の葉の株は、気が付くと何枚も溶けてしまい、おさまる気配がありませんでした。その場合は、できるだけ早く消毒し、株のぐらつきをチェックして、株を引き上げて根を見たほうがいいです。
根腐れした株の処置
根腐れや調子の悪い株は、季節に関係なくできるだけ早く処置しています。ただし、処置した株は、生育に適した温度に保てるところで管理します。また、日当たりは、明るめの日陰くらいが適当かと思います。
傷んだところを全部とる
腐った根は除去し、茶色くなってグズグズになっているところは全部取ります。場合によっては消毒したカッターナイフで、病変しているところを取り除きます。
水で洗う
傷んだ部分を切り取ったら、水でやさしくきれいに洗い流します。
傷口の消毒・殺菌
水洗いでかなりきれいならそのまま、この項目を飛ばして次にいきます。
もし芯の部分まで茶色くなっていたり、いくら切っても中まで茶色くなっていってそうな場合は、ひょっとしたらダメかもしれませんが、ダメ元で、殺菌します。殺菌したら生き残ってまた根が生える場合もありますので、あきらめずに対処します。我が家では、いつも頼りにしているベニカXファインスプレーを根元にスプレーして乾かしました。ベニカXファインスプレーのメパニピリムという成分は、灰色カビ病や小菌核腐敗病、etc. 病原菌の侵入を防ぐ効果があるようです。
上の写真の斑入りのオブツーサは、葉が数枚溶けて進行がとまらないので、株を引き上げてみたら、根が元のところで腐っていました。根元が全体にカビに侵されていたので、比較的元気そうな葉も簡単にボロボロと取れてしまう状態です。もとは、立派で新しい根が生えていたのですが、根元部分が腐り、すべての根を切りました。根を切って、水で切口を洗ったのち、ベニカXファインスプレーを切口に噴霧し、乾燥させたのち、清潔な土の上に置きました。
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発根方法
清潔で無肥料の土の上に置く
ここからの発根方法は、株分け時に根がつけられなかった、かき仔の発根と同じ手順です。
我が家では、用土にエクサゴノの無菌・無肥料・焼成したものを使っています。
ほとんどのハオルチアに2~3mmの極小粒を使っていますが、発根の場合、苗の大きさや状態によって、使う粒の大きさを変えています。かき仔などの小さい苗の発根には、苗を固定できる様、1~2mmの粒の小さな細粒を、大きめの苗になるにしたがって、粒を大きくしています。
特に根や葉が腐って根がなくなったものには、置くだけになるので、次の点に気を付けています。
- 土と根元との接触面積を減らす。
- 通気性を高めつつ、水分が近くにあることを感じさせる。
土は、清潔な新しい土にし、まだ、発根していないので肥料なども必要ありません。余計な肥料は、雑菌が繁殖するもとになる場合もありますので、元気になるまでは与えないようにします。
このまま、動かさないようにします。がまんです。
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発根までの水やり方法
土が乾けば、鉢の縁に沿ってぐるりと水やりします。発根の場合は、常に近くに湿り気があるようにしなければならないので、土の表面が乾いていれば、水やりするようにします。
根を伸ばせば水分があるようにすると根が伸びます。根は吸水のほかに呼吸もします。ですので、用土も粒状のもので、隙間をつくり通気性を高めてあげるといいですね。
発根…処置から3週間後
根が出てきたら安心です。発根までは、季節や品種にもよりますが、2週間~1か月くらいです。発根するまでは、時間がかかりますが、根が出たら伸びるのは早いです。2~3日後には、株を触ってもぐらつきが少なくなって、手ごたえがします。
我が家では、一度、根腐れを起こして新しい根が出てきた株は、環境に適応するのか、その後はトラブルなく丈夫に育っています。ハオルチアは、基本的に強靭なので、あきらめずに手当てすれば、うまくいくケースが多いです。
発根してから7か月
ふっくらとして、ツヤも透明度も甦っています。12月までは、屋外での管理でしたが、最低気温が5℃以下になるころには室内管理に替えました。日に当たると葉緑素のある部分が褐色で斑の部分が淡いピンクに発色しますが、このオブツーサは濁りのない緑と白い斑のままがきれいだと思っているので、冬は室内の日差しの入る窓際がちょうどいいと思っています。窓ガラスで紫外線はカットされているので日焼けのダメージはないです。温暖な室内管理で水も週に一度はたっぷりあげています。
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