アデニウム・オベスムを育てて丸5年になります。3年ほど前から、毎年6月頃になると蕾を付けるのですが、その後、蕾が生長することなく枯れ落ちていました。それが、今年は一輪だけ蕾が生長を続け、無事開花しました。『砂漠の薔薇』にふさわしい艶やかな花です。毎年だめだったのに今年は開花したのは、環境条件などの要因があったと思われます。
また、2022年の夏にアデニウム・オベスム’スリアン・チャンター’を入手しました。2枝に複数個の蕾を付け、枝毎順に8月下旬と9月下旬に開花しました。’スリアン・チャンター’は、色がマーブルに混ざり合った美しい花を咲かせます。接ぎ木されている園芸種ですので、花を咲かせやすいように改良されているのかもしれません。
この記事は、5年育てているオベスムをメインにしていますが、’スリヤン・チャンター’についても気が付いたことを織り交ぜて書いています。我が家の環境や開花に必要な条件についての所感をご紹介します。
尚、我が家のアデニウム・オベスムの育て方や栽培記録についての記事がこちらにございますので、ご興味があればご覧ください。
実生のアデニウム・オベスムは、実生3~5年で蕾をつける
我が家のオベスムは、3年前から蕾を付けるようになりました。幹の下部がふくらんだ、とっくり型の典型的なオベスムです。挿し木苗は幹が太りません。ですので、とっくり型ということは、おそらく実生かなと思います。購入時の苗は、種から育てて1年~2年くらいの苗だと思います。ですので、計算すると、我が家では、種から3~4年で花芽をつけるまでに生長したということになります。尚、我が家の場合ですので、生育環境が違えば、花芽形成までの期間は、ある程度幅はあるかなと思います。まあ、3年~5年でしょうかね。
蕾を付ける時期
我が家は、首都圏で南向きのベランダの軒下で、温室などは使わず自然な環境で育てています。5年育てているオベスムの毎年蕾が確認できるのは5月末から6月初旬頃で、その時期にしか蕾をつけません。
我が家のオベスムの花芽形成について、もう少し詳しく説明しますと、我が家は断水せずに冬越しさせています。休眠させませんが、毎年新芽が出てくるのが3月~4月です。新葉が数枚出てしばらくすると新葉の葉柄から葉脈の主脈にかけて赤くなってきます〔下記写真参照〕。この部分が赤くなってくると花芽の分化が始まったと予測しています。
花芽の分化・形成から花の終了まで、葉柄から主脈にかけて赤味が差し、完全に花が終わると元の葉柄・葉脈の色にもどります。
尚、ネットの情報では、花期は6月~9月ですが、20℃以上の気温があると花をつけ、気候が合えば、いつでも何回でも咲くとの情報があります。おそらく、現地や栽培が盛んなタイ、または、日本でも温暖な地域や温室などでの栽培では、文字通り気候が合うため、花期が長く何度でも咲くのかもしれません。
‘スリヤン・チャンター’の開花は、8月末と9月末です。8月に側枝に蕾が膨らんだものを購入し、それが8月末に開花しました。花が終わってから、今度は主幹の蕾が膨らみだし9月末に開花しました。温室で育てられていたものを購入したので、花芽形成時、ちょうどよい温度の環境で置かれていたため、晩夏に開花したのだと思います。
アデニウムの冬の管理が、花芽形成に影響する?
我が家は、11月頃に最低気温が15℃を切るころになると、夜間は室内管理にしています。日中は、南向きのベランダで陽に当てています。冬は晴天が多く、ほぼ毎日、よく陽が差し込むベランダで直射日光に当てています。朝から16:00くらいまでは、外にだしています。葉は、一気に落ちることなく少しずつ少なくなっていきますが、休眠することはなく、水も頻度は落ちますが与えています。
夜は、リビングに置いていますので、暖かいです。また、照明も付いているので、自然に比べて、かなり日照条件が乱れることになります。それでも、6月頃には蕾を付けるので、冬越し時の朝夕の気温差や日照時間が、花芽形成に影響しているとは考えにくいです。
アデニウムは、長日植物?それとも中性植物?
アデニウムは、キョウチクトウ科ですが、調べてみても長日植物か、中性植物かわかりませんでした。
長日植物は、暗さがある一定の時間より短くなれば花芽が形成される植物で、自然では日が長くなると花芽が形成されます。また、長日になる前に一定期間寒さに晒されるのも条件の一つです。我が家の冬の管理は、上の項に書いたように夜は室内で管理しています。ですので、まったく長日植物の育て方をしていません。それでも6月になれば毎年蕾が付くので長日植物に当てはまらないのではと思っています。また、’スリヤン・チャンダー’は、日長時間が短くなっていくのに花芽が付き開花しています。これも長日植物に当てはまらないですね。
中性植物とは、日長時間に関係なく、花芽が形成される植物です。中性植物は、熱帯のものに多いようです。また品種改良などで四季咲きのものもこれに当たるようです。
アデニウム・オベスムは、アフリカ大陸東部~南部、アラビア半島原産です。また、タイなどで品種改良が進み、園芸品種として出回っています。
我が家では、5月~6月に花芽形成されるので長日植物なのかとも思いましたが、熱帯性植物で、品種改良も進んでいる点、気候が合えば何回でも花が咲くという点で、日の長さに花芽形成が影響していないように思います。
やはり、陽当たり〔直射日光〕と気温が、花が育つ条件かもしれませんね。
特別な育て方をしなくても蕾は付く
花〔蕾〕がつかない原因として、下記のことがネット情報でよく出ています。
- 生長していない
- 直射日光に当てていない
- 気温が低い
- 肥料が少ない、あるいは多すぎる
- 水やりが多い
我が家の経験では、1.は納得です。ある程度成熟しないと蕾はつけないです。2.や3.も、花芽を付けるには、陽当たりや気温が大きく関わっていると思います。我が家の環境では、5月~6月頃の日照や気温が蕾を付けるのに、もっとも適しているのだと思います。
4.や5.は直接的な原因にはならないと思います。アデニウムは、多肉植物で乾燥に強く、やせた土地で育つ植物ですし、極端な栽培方法でない限り、大きな影響があると思えません。
我が家では、毎年同じ時期に蕾をつけます。ですので、陽によく当てていれば、自然に蕾が付くと考えられます。
蕾が枯れるのはなぜ?
梅雨時期の日照不足と低温
毎年、蕾が大きくならないまま枯れ落ちていたのに、なぜ今年は開花したのか。考えてみるに、今年は梅雨が異常に短かった。これではないかと思います。7月中旬の今になって梅雨が戻ってきたのかと思う様なぐずついた天気ですが、蕾が急速に大きくなった期間は、晴天続きで真夏並みの気温になった時期で、梅雨明け宣言が出たあたりからです。
梅雨時期というのは、陽当たりも悪く、気温が低めです。また、晴天時と雨天では気温差が激しかったり、1日で気温が10℃も違うといったこともあります。
春になり、温暖で花芽を形成するに適した陽当たり・気温になり、せっかく花芽が形成されたのに、梅雨に入り日照条件が悪く気温も低めだったり、気温の変動が激しかったりで、蕾が育たないのでしょうね。
今年は、たまたま気候が合って生長できたということは、やはり毎年安定して蕾を開花させるためには、温室などで照度や温度を管理する必要があるのだと思います。また、日本でも気候が合う地域では、温室などを使わなくても自然に開花するのかもしれません。
また、蕾は、いくつも付き全部咲いたらさぞ見ごたえがあるのだろうと思いますが、我が家のオベスムは、一点集中で開花させ、他の蕾は枯れ落ちていきました。蕾が同時に複数育つ条件などが今後の課題かなと思います。
蕾を枯らさず、きれいに開花させるには
20℃以上なら花芽が形成されるということですが、我が家の経験からいうと蕾が育って開花するまでの間に、曇りや雨で日が当たらず冷える日が2~3日続くだけで、蕾は育たず枯れてしまいます。蕾が出来て開花するまでは、1か月半くらいかかります。その間、陽当たりがよく、気温も維持できれば順調に開花しますが、日本では、安定したお天気が続くのってちょっと難しいですね…。下の写真は、’スリヤン・チャンター’ですが、蕾が数個育っていたのに、台風の影響などで陽が当たらず、20℃を切る日もあるため、3日で小さい蕾は全部落ちてしまいました。ある程度育っていた3つが、なんとか開花しましたが、気候的にはかなりギリギリな感じです。
害虫被害
日照不足と低温が蕾を枯らす一番の原因なのですが、コナカイガラムシなど害虫による生育不良も原因の一つになるかと思います。奇形した葉がでるのもコナカイガラムシの弊害です。我が家のアデニウムは、コナカイガラムシが付きやすく、いつも頭を痛めています。コナカイガラムシは、成長点に群がることが多く、つまようじや歯ブラシなど使って物理的に駆除したり、オルトランやベニカXファインスプレーを使っていますが、完全に駆除することは難しいです。
今年も蕾が付いた時点では、また枯れるだろうと無関心でしたが、蕾の先が赤くなりだしてから、今年はひょっとしてと思うようになり、それから、ほぼ毎日、コナカイガラムシを忍耐強く駆除していました。花芽形成の初期段階でコナカイガラムシが付くとその後の生育が悪くなり枯れる原因になる可能性はあります。
蕾から開花までの記録
6月初旬 蕾が付く
蕾がつきました。蕾は、一番伸びた枝の先端に複数付きます。他の枝の成長点の葉柄から主脈も赤くなり、葉ではない蕾になりそうな先端が見えるのですが、そこで終わってしまいます。
尚、下葉の先が枯れているのは、冬越し中落葉しなかった葉です。冬の間は休眠させず冬越しさせますが、一部落葉したり、先だけ枯れます。見苦しいのですが、自然に落葉するのを待ちます。
7月初旬 蕾の先端が色づく
7/2
実は、6月初旬の蕾は、一番大きいのが枯れ落ち、更に新しい蕾が出てきて4つになっています。約1ヵ月の間、さほど期待もせず過ごしていましたが、ふと、見ると2つの蕾が赤く色づいています。ひょっとしたら、今年は咲く気になったかも?と、急に注目しだしました。
7/3
手前の蕾が目に見えて大きくなっていきます。花弁の巻きもわかるようになってきました。
7/9
手前の1つの蕾だけ生長し、他の3つは、まったく生長していません。
生長どころか、奥の矢印の蕾は立ち枯れているようです。
7/12
蕾が膨らみ、角度が変わりました。いつ咲くのかワクワク、途中で枯れないかドキドキです。
奥に付いていた蕾は枯れ落ちました。
7/13
脇についてた蕾も枯れ落ち1個になりました。大きく膨らみ、花弁の縁がフリルの様に立っています。
7月中旬 開花
7/14
開き始めました。
昼過ぎには、完全に開きました。直径6.5㎝くらい。大輪で艶やかな赤い花にうっとり。形はユリのようですが、花の色は薔薇ですね~。我が家には、カクテルという一重のつる薔薇をそだてているのですが、色味ままさにカクテルです。
咲いてくれて本当に嬉しいです。花が大きいので、一個でもすごい存在感です。花がおちるまで2週間でした。長く楽しめますね。
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