ハオルチアの窓を透明ツヤツヤに:冬の管理場所は室内or屋外?

ハオルチア 巨大赤線オブツーサ

首都圏の南向きマンションのベランダと隣接する部屋とを、季節や気象に合わせて行き来させながら、ハオルチアを育てています。冬期1~2月の間は、陽当たりの良い室内がメインで、紅葉を楽しみたい品種だけ屋外で管理しています。冬の室内管理をする期間が、1年のうちでハオルチアが1番美しく感じられます。

育てる環境は皆さまそれぞれ違うので、一概に『これが正解!』というものはないと思います。ハオルチアの性質を調べたり、試行錯誤しながら自分家での育て方を模索しています。

我が家のハオルチアの冬の管理についてご紹介します。

冬の陽当たりの良い室内はハオルチアにベストな環境

ハオルチアは、他の多肉植物に比べると耐陰性も強く、室内での栽培も可能な植物です。ただ、年中室内となると、室内に陽が入らない時期(3月~9月)は照度が足らず、植物育成用照明が必要です。ですが、南向きの室内であれば、太陽高度の低い冬期は、室内で十分な照度を得ることができます。

ですので、我が家では、最低気温が0℃近くなる1~2月だけ、紅葉させたい品種を除き、ハオルチアを室内の陽の当たる場所(南向き)で管理します。この時期は照明などの設備も必要なく、ハオルチアをツヤツヤぷりぷりで透明感ばっちりのベストコンディションに保つことができるからです。

照明無しで十分な日照

冬は太陽高度が低くなり、南向きの室内では太陽光が差し込みます。室内窓際の陽の当たる場所は、ハオルチアを育てるのにちょうどいい日照です。

室内外 陽当たり 冬 ベランダ 室内

我が家では、冬の晴天時はかなり光が差し込み、窓際に付近では、25,000 lux前後あり、レースのカーテン越しで、10,000 lux程度になります。ですので、冬の間は、栽培用の照明設備の必要もなく室内でハオルチアを育てることができます。

ハオルチアの適正照度は、10,000 lux前後と言われているのでカーテンを閉めるとちょうどいいのですが、カーテン無しのほうが棚のどの位置も満遍なく照度を得られます。窓ガラス(高断熱真空ガラス)で紫外線がカットされており、カーテン無しでも葉焼けもせずコンディションもいい状態なので、カーテン開けっ放しにしていることが多いです。

カーテン無

ハオルチア 冬期 室内管理
カーテン無の室内窓際
ハオルチア 冬期 室内管理 照度
窓際床近く Am9:00 2,618 lux ×10=26,180 lux
ハオルチア 冬期 室内管理 照度
棚上 窓側 Am9:00頃 2,784 lux ×10=27,840 lux
ハオルチア 冬期 室内管理 照度
棚上 室内側 Am9:00頃 2,422 lux ×10=24,220 lux
ハオルチア 冬期 室内管理 照度
棚下 室内側 Am9:00頃 2,262 lux ×10=22,620 lux

デジタル照度計 デジタル照度計881E高精度ライトメーター照度明るさテストライトメーター光度計30万ルクスメーター UVテスター (Color : 1, Size : 881E)

新品価格
¥7,946から
(2023/11/4 12:35時点)

カーテン有

ハオルチア 冬期 室内管理 照度
棚上 窓側 Am9:00頃 1,056 lux ×10=10,560 lux

棚の設置時には、照度計を使うと便利ですよ。尚、物の陰になる部分などは、見た目以上に暗いです。一度計測しておけば、十分だと思います。

紫外線カットで、きれいな緑の肌と透明度の高いツヤツヤ窓に

紫外線って必要?

紫外線は、波長によってUVA(320~390nm) UVB(280~320nm) UVC(200~280nm)に分けられますが、UVCは、地上に届かないので、地上の生物に影響を与えるのはUVAとUVBです。波長が短いほど有害で、UVBは細胞を破壊するなど有害であるという情報が多いですが、UVAは、次のような効果があることがわかっています。

  • 植物の徒長を抑制
  • 花芽の形成を促進
  • アントシアニンを合成して、他の有害光線をブロックする働きがある

光合成を促進するのは、緑の波長を除いた赤と青の可視光線領域ですが、UVAも植物の生長に関わっているということですね。また、遠赤外線も、植物の生長に深くかかわっており、徒長を抑制する働きがあるようです。(参考:日本植物生理学会)

紫外線カットのメリット

植物の徒長や花芽の形成は、UVAだけの問題ではなく、水やりや光量、肥料などいろいろな要素が関わっています。実際冬の2か月室内で育てて徒長させたこともなく、その間、花芽もたくさん出ています。年中室内では紫外線カットの弊害がある可能性はありますが、2か月程度では目に見える弊害を感じたことはありません。

一番影響があるのは、室内では紅葉しないということですね。紫外線カットの室内環境では、アントシアニンが合成されなくなるので、屋外で紫やピンク等に色ずいていた葉も、室内では本来の緑に戻ります。

ハオルチア 紫絵巻
室内管理に替えると紫から鮮やかな緑に変化

逆に、緑美しく、窓がつやつやで透明度を損なわないように育てるには、紫外線は断然カットしたほうがいいと思います。ハオルチアの窓が曇ったり、ツヤが無くなるも紫外線の影響が大です。紫外線がカットされた室内での栽培では、窓は透明度が高くツヤツヤします。窓の美しさを楽しみたい品種は、室内管理がいいですね。

ハオルチア 巨大赤線オブツーサ
室内管理だと窓の透明度が高い

水やりは、生長期と同じ

室内管理は、生長期と同程度の環境をつくりやすいですね。我が家では高断熱真空ガラスのスペーシアを窓ガラスに入れています。外気温が伝わりにくく、窓際に植物を安心しておくことができます。寒い日も夜間10~15℃くらいに落ち着いています。尚、スペーシアについてはこちらに記事がございますので、ご興味のある方はご覧ください。

ですので、水を切ったりせず生長期と同様の管理の仕方ができます。我が家では、週に一度程度で水やりしています。桶に水を張って鉢を浸す方法でしっかり水やりしています。ですので、葉は十分に水分を保っているのでぷりぷりツヤツヤになります。ハオルチアは、元来、水が好きな多肉植物です。根回りも多少湿っているのを好みますので、冬の室内管理は蒸れることなく適度な湿り気を与えてやることができます。

ハオルチア ブラックオブツーサ錦 糊斑

冬の室内は湿度が低い?

一番気になるのは、冬は湿度が低いということですね。ですが、多肉植物はCAM光合成と呼ばれるタイプでエネルギーを得ています。昼間は、乾燥に耐えるため気孔を閉じているので、昼間はいくら湿度が低くてもさほど影響がないように思います。大切なのは、一日の気温の温度差で生まれる夜間の湿度ではないかと思います。

尚、以下の内容は、我が家の推測も含まれるので、参考程度に読んでいただけると幸いです。

昼と夜との温度差によって湿度を産む

ハオルチアのような多肉植物は、昼夜2回に分けて光合成(CAM光合成)を行います。普通の植物は、昼間に気孔を開いて水分を蒸散し、二酸化炭素を取り込みますが、多肉植物は乾燥に耐えるため、昼間は気孔を閉じて水分を蒸散しないようにしています。外気の湿度が低いと蒸散量が多くなってしまうので、気温が下がって相対湿度が高くなる夜に気孔を開き、水分を蒸散し、二酸化炭素を取り込みます。蒸散によって出した水分を補うために、土の水分を根から吸収する仕組みになっています。

要するに夜に気孔が開くには、適度な空中湿度が必要で、その空中湿度は、昼と夜との温度差によって生まれる。ということですよね。そして気孔が開いて水分が蒸散したら、根から吸水される、というポンプと同じような仕組みになっています。夜間、気孔が開くときの湿度は、植物にとってちょうどよい湿度帯があるようです。適切な湿度環境を整えるのに次の2点を参考にしています。

飽差表を用いる

飽差表を用いると、気孔が開く温度と湿度の適切な環境がわかります。例えば気温15℃だったら相対湿度は50~75%くらい。気温20℃だったら相対湿度は60~80%くらい。湿度が低すぎても高すぎても蒸散は行われません。飽差は、農産物に使われているので、ハオルチアなどの多肉植物が当てはまるかはわからないのですが、湿度帯の高い方の値を目安にしています。

ハオルチア原生地(夜間)の湿度

ざっくりとした話ですが、ハオルチア原生地の南アフリカの湿度は、夜間80~95%になるようですね。日本でも日中~夜間の温度差によって、夜間75~90%程度になります。夜間に気孔を開くハオルチアは高湿度環境がよいということになりますよね。推測ですが、あまり蒸散が活発ではないということでしょうか。ハオルチアの生長がゆっくりなのも環境に適応してのことなんでしょうね。

室内の湿度環境を知る

上記の飽差や夜間湿度から、だいたい室内の夜間の相対湿度を75~85%あれば、いいのではと思っています。この値なら、自然に、あるいは少し加湿することで整う環境かと思います。

我が家の冬の室内環境は、加湿器を稼働させて昼間40~45%くらいの湿度です。昼間は部屋に差し込む日照だけでも暖かく日中の室温(ハオルチア管理場所)は30℃を超えることもありますが、平均すると25℃前後でしょうか。早朝と夕方~就寝までは、床暖房やオイルヒーターなどで室内を温めますが、就寝後~早朝までは室温は下がって最低15℃程度です。

我が家の昼夜の温度差で、夜間どのくらいの相対湿度になるか計算すると、昼間の気温25℃で相対湿度が40~45%だとしても、夜間は15℃で、相対湿度は75~85%程度になるという計算になります。これは、湿度空気線図で求めた数値で、部屋の中の空気や水分の出入りがない状態での計算値ですので、実際には多少異なるとは思いますが、計算上は夜間ちょうどいい湿度になっている考えてよいかと思います。実際、ハオルチアの葉はつやつや・ぴちぴちで、水分の代謝はうまくいっていると判断しています。尚、もう少し湿度が足りないなと感じたときには、霧吹きなどで空中の湿度を高めたりするといいように思います。

水やりは、夕方から夜がいい?

要するに、根から吸水させるには、夕方以降から早朝くらいまでの間に土が濡れていればいいということですね。逆に土が乾いていると気孔を開けられず閉じたままになり、二酸化炭素を取り込めなくなります。まあ、多肉植物ですし、毎晩活発に気孔を開けて蒸散しなければならないこともないと思うので、ハオルチアの水やりって一週間に一度くらいです。一度たっぷり水をあげたら土はしばらくは湿っているので、水やりは朝でも夕方でもいいのではないでしょうか。

尚、ハオルチアの土の乾き具合は、やはり個体差がありますね。同じ環境に置いても、土の量や株の大きさ、根の張り、各々の蒸散量などで違ってきますよね。水やりは週に一回といっても、特に乾きが早いものや遅いものは、様子を見て個別に対応しています。

ハオルチアを紅葉させるには冬は屋外管理

ハオルチア 紅葉 ロゼア シンビフォルミス 

ロゼアなどのシンビフォルミス系やレイトニー・イクラといった色づかせたいハオルチアは、外で管理しています。ベランダの半透明フェンスの手前の棚で、冬期は直射日光は当たりませんが、我が家のベランダ内では比較的明るい日陰です。この場所は建物などで部分的に影ができない場所で、満遍なくほぼ同じ照度です。

晴天時の照度と気温

ハオルチア 紅葉 屋外 照度
晴天 am.11:00頃 2,699×10=26,990 lux

照度計で計測してみましたが、数値は割と安定していて、10時~15時までの陽の高い時間帯は、17,000~28,000 lx と十分な照度があります。我が家の明るい日陰は、思ったより明るい場所でした。冬は晴天の日多いです。1~2月の風のない晴天の日はだいたい同じような光量だと思います。ハオルチアの適正照度範囲よりは、大きい照度です。ちょっと強いかも…。とも思いますが、紅葉させるにはいいかもしれませんね。

気温も思ったよりかなり暖かいです。日中は20℃以上ありますね。直射日光が当たっていなくても、風が少ないとこのくらいになるんですね。常にベランダに置いている温度計は、ここではない日陰に置いているのですが、早朝は2~5℃くらいです。。

陽が傾く16:00頃になると4,000~5,000 lx程度と1時間で急激に落ちます。気温もそろそろ落ちていきます。

水やりはごく少なく

我が家のベランダは、もちろん雪や雨の日は退避させていますが、冬でも0℃を切ることはほとんどありません。植物の細胞内液が凍りつくほどの寒さはないので、冬場は完全に水を切ることはなく、様子を見てかなり乾いているようなら、早朝暖かい日を選んでサラッと土に水を含ませています。

尚、マイナスや0℃の時間帯が長いような環境の場合は、最低気温が10℃切るころから徐々に水を切っていって、冬支度をする必要があるようです。水を切るのは、寒さに耐え凍らないように慣らす〔低温馴化〕のためです。植物の細胞内液は、0~5℃の凍らない程度の低温を数日~1か月経験することによって、凍結抵抗性を得るのだそうです。凍らないように糖やたんぱく質をため込み細胞内液を凍りにくい体質に替えます。たっぷりと水やりをすると凍結抵抗性がリセットされてしまうので水を切ります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました