〔2023.09.20〕更新 2023年5月下旬に、挿し木したつるにかわいい捕虫袋が付きました。



ウツボカズラのネペンテス・アラタとレッドアラタを丸5年育てています。ウツボカズラは、葉の先に捕虫袋をつけますが、捕虫袋が枯れたらその葉が再び捕虫袋をつけることはありません。ですので、数年経つと背が高くなるのに下葉は枯れていて見苦しくなるので、我が家では、1~2年に一度は剪定しています。毎年冬~春にかけて株元から新芽が出て株が増えるので、古いつるは切ったほうが見た目のおさまりがいいのです。増やしたい場合は、切り取ったウツボカズラを挿し木すれば、容易に発根します。


我が家での挿し木の方法についてご紹介します。
尚、ウツボカズラを育て方や生長の様子などの記事がこちらにございますので、ご興味がある方は見てくださいね。
挿し木の方法
挿し木は、水挿しする方法と赤玉土やミズゴケに挿す方法があり、どちらも適期であれば約1~2か月で発根します。どの方法でも発根しますので、ご都合のいい方法を用いればよいかと思います。感想程度ですが、違いは下記のようなことです。
水挿しの良い点・注意点
水挿しは、水に挿すので、根回りの乾きは気にしなくていいですが、発根させた後、用土に植え付ける必要があります。また、コップなど水を溜める容器とラップがあれば、簡単に始められますし、室内管理も容易です。
用土への挿し木の良い点・注意点
赤玉土やミズゴケは、用土が乾かないように注意する必要がありますが、発根後もそのまま育てられます。
赤玉土は、鉢で育てる場合、ミズゴケに比べるとつるを固定しやすい利点があります。発根後もそりまま育てる場合は赤玉土が便利です。
ミズゴケは、根を崩すことなくそのまま別の鉢に植え込むのが簡単です。もちろん苔玉にするのも簡単ですね。ネペンデスの根は細く繊細なので、発根後、根を崩すことなく植え替え出来るのが利点ですね。軽量なので吊り鉢にも最適です。我が家では、ミズゴケにベラボンを混ぜ使用しています。
挿し木の時期
挿し木はウツボカズラの生長期の開始時期くらいが適切です。だいたい5~6月がちょうどよい時期かと思います。気温も十分暖かく、ウツボカズラが生き生きする湿度の高い梅雨時期に芽や根がでるので順調に育ちやすいです。
挿し木に使う、つるの取り方
切ったつるを2~3節で切り分けます。剪定時のハサミは、アルコールで拭いてから使いますが、茎の切口に消毒剤や発根促進剤は我が家では使っていません。植物は高い自然治癒力を持っていますので、弱った苗でない限り、清潔な土や水を使えば問題ないかと思います。

矢印の葉の上の点から芽が出るので、その上でカットします。この茶色い点は潜伏芽〔潜芽〕と呼ばれ、芽として生長できずに痕跡だけ残ったもので、茎が切断されたり、付近が傷ついたときに、目を覚まし生長を再開する可能性のある芽です。この潜伏芽が、切り取ったつるの上部に必ず付いているように切ります。
葉を半分に切ります。葉からの蒸散を減らし発根するまで無駄なエネルギーを消費しないよう、負担を少なくするためです。

切ったつるは、作業に入るまで水に浸けておきましょう。
尚、上の写真は、緑のつるの部分を使用していますが、古い茶色くなったつるの部分でも挿し木可能です。
水挿しの方法
至って簡単です。適当な容器に活けて置いておきます。湿度を保つため、軽くラップをかけて管理します。(写真はラップを外しています。)

この状態でしばらく育てます。水は時々替えます。暖かく明るい窓際などに置いていました。
約3週間後

あまり気に留めずにいたら、約3週間後に新芽が出ているのを発見です。


4つに分けた時、先端部分だった新芽は開いて新しい芽が出ています。4本中3本は出芽しました。残りの1本はというと、水に完全に浸かっていたため出芽していませんでした。その1本も芽が出る部分を水面から出して、再び置いておきます。
根の状態はというと、水に浸けた切口は黒くなっており、まだはっきりと根は確認できません。

1か月~2か月後
1か月過ぎたあたりから発根し始めました。約2か月後の状態が下の写真です。

そろそろ、ミズゴケや赤玉土などに植え付けします。
何に植え付けようか考えていたら、いつの間にか忘れてしまい、水が無くなってカラカラにしてしまい、苗をダメにしてしまったことがあります。皆様、ご注意を。
赤玉土への挿し木方法
赤玉土は茎を固定しやすいのが利点です。
剪定したつるが多いので、今回は成長点から10㎝くらいをつるを4本とりました。新芽だけ残して、他の葉は半分くらいにカットしておきます。下の方の葉は、植え付けしやすいように適当の取り除くといいですね。〔写真は、下葉を取り除く前です。〕

鉢に赤玉土で植え付けます。赤玉は、我が家では中粒を使いました。赤玉土100%で植え付けます。肥料なども不要です。ウツボカズラは肥料をほとんど必要としません。また、肥料分があると雑菌やカビが繁殖しやすく、つるの切口が菌に侵される可能性があり、挿し木には肥料を使いません。
赤玉土は、弱酸性で肥料分をほとんど含みません。粒状で通気性・水はけもよく、多孔質のため粒自体の保水性がいいので、挿し木に適した土ですね。

1/3くらい赤玉土を入れたら、枝を入れて固定するように赤玉土で埋めていきます。

湿度を保つため、プチトマトなどのカップ型のプラ容器を下の写真のように重ね合わせて管理しました。上側の容器には、写真の様に通気用の穴を空けています。

あとは、赤玉土が乾かないように水やりします。水やりの際に、下のパックにわずかに水が溜まった状態になることもありますが、少々溜まっていても問題ありません。尚、我が家では、スリット鉢を使っており、少々溜まっていても水位は低いよう注意して、スリットからの通気性を確保しています。水挿しで発根しますから、発根するまでは根回りの通気性は関係ないかと思いますが。発根後もこのままで育てるのであれば、通気性はよくしておく必要があります。
約1か月半
挿し木時に頂点で開いていなかった葉が展開し、次の芽が出ています。順調のようですね。おそらく発根しています。

6月初めには梅雨入り宣言があり、温湿度ともにウツボカズラに最適な時期になったので、上の覆いを取って育て始めました。
約2か月後…発根
写真撮影のため、つるを抜きました。無事発根していましたね。ネペンテス・アラタの根は、写真の様に黒くとても貧弱です。植え替えなどで、黒くて発達していないこの根を見るたび、繊細なので丁寧に扱ってやらねばと思います。

植え直しました。赤玉土は、長く水に浸っていると壊れやすいのが欠点です。鉢を入れていたカップには、水やりのたびにわずかに水が溜まっている状態だったので、少々もろくなっていました。新しい赤玉土を加えて植え直しました。これからは下のカップも取って育てます。

約3か月…捕虫袋が育つ
捕虫袋が育ち始めました。水やりは朝夕2回、じょうろで葉先までたっぷり水をかけています。

ハンギング用の鉢カバーで吊るしてみました。

ミズゴケ&ベラボンへの挿し木
方法は赤玉とほぼ同じで、発根後もこのまま育てることができます。ミズゴケ&ベラボンに挿し木すると根を崩すことなくそのまま別の鉢に植え込むのも、苔玉にするのも簡単ですね。ネペンデスの根は細く繊細なので、発根後、根を崩すことなく植え替え出来るのが利点ですね。軽量なので吊り鉢にも最適です。


今回はビニールポットに植え付けました。固定するためにつるにミズゴケを巻き付けていくようにし、先端の部分だけ用土から出すように植え付けています。
40日後

今回は、芽がつく部分のぎりぎりまでミズゴケに埋まっているため、潜伏芽周りの湿度は十分保てると思うのでカバーはせずオープンで管理してみました。1㎝ほど腰水し、水が無くなったら、じょうろでシャワーのように上から水やりします。

40日後、ほぼ全部のつるに芽が出てきています。根の状態は確認していませんが、順調に芽が育てば、他の鉢に移します。
挿し木から4か月後
毎日水やりだけして、ほぼ放置でしたが無事発根したようです。新葉が数枚出ています。

よく見るとちらほらと葉先に捕虫袋がついています。枯葉を整理して撮影しました(^^♪


小さくてとてもかわいいです。まとめて、一つの鉢に数本挿し木したものは、そのうち分けようかなと思っています。
夏の真っ盛りは、暑すぎて葉先が枯れ、一時的に捕虫袋が育たなくなりますが、9月になると、また、捕虫袋がたくさん付いて大きく生長するようになります。
挿し木を取った親木のほうも捕虫袋が増えていってます。アラタとレッドアラタの寄せ植えです。下の2枚の画像は、表裏2方向で撮っています。なかなかいい感じです。


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