〔2022.02.12〕更新
葉伏せで発根した苗を植え付けて2年7か月。 胞子嚢穂(ほうしのうすい) が伸びて、一部の穂の葉が開いてきています。時間はかかりますがゆっくりと生長しています。新しい穂も出てきています。あんなにわずか2㎝ほどの小さな穂の先っぽが、こんなに大きくなって…と子どもの成長を喜ぶ親の気持ちです。

リコポディウム・フペルジア・ゴエベリーはシダの仲間です。鮮やかな緑が美しく長く垂れ下がって、ハンギングすると素敵ですよね。
約3年前の早春、立派だった下の写真の株を根ぐされさせてしまいました。株がダメになる前に、先端だけ切り取って葉伏せという方法で増やすことにしました。1度目は失敗しましたが、その失敗を生かして、2度目を工夫したところ、うまくいき発根が確認できました。


我が家の行った葉伏せの方法と、生長の記録をご紹介したいと思います。
葉伏せって何?
葉伏せとは、用土の上に寝かせて発根させる方法です。ゴエベリーは、直立せず長く垂れ下がる植物なので、横に寝かせて発根させます。

根が出るのは、胞子嚢穂(ほうしのうすい)のある先端近く
胞子嚢穂(ほうしのうすい)とは、胞子葉が枝の先端部に多数集まり穂のようになったものです。先端の細く枝分かれしている部分が胞子嚢穂です。胞子嚢穂が付いているものとついていないものと両方試しましたが、胞子嚢穂の付いている枝ばかりが発根しました。

どこ(部位)に根がでるか


胞子嚢穂の根元の部分から根が出できます。

根が出る前にまず胞子嚢穂が上を向き、葉が開いてきます。その穂はそのうち根が生えてきます。

写真の←辺りから根が出てきます。この辺りをミズゴケに接触させるように置きます。接触するように置くだけで発根していますが、この部分にミズゴケを被せるようにして穂を包むのもいいと思います。
葉伏せする穂の長さ
株から切り取る穂の長さですが、胞子嚢穂の根元から2~5cmくらいで十分です。このくらいの長さで発根しているので、あまり長くとる必要はないと思います。穂の先端が多数分かれているケースもありますし、扱いやすい長さでカットすればいいと思います。
根元が弱ってきていても先端部が元気なら発根は可能
今回株の根が傷んで、枝の根元の方は葉がしんなりと元気がなくなっていきましたが、先端部はまだ青々としていたので切り取って『葉伏せ』にしました。ゴエベリーは、株の根元の部分が枯れたり切れたりしても、生長点付近は結構長生きします。我が家も根腐れしてかなり弱った茎の穂先で成功しているので、根元がダメになっても可能性ありますよ。
用土はベラボンとミズゴケ、適度な通気性が必要
ベラボンもミズゴケも吸水性・保水性に優れているのと同時に排水性もよく、吸水量に応じて膨張収縮するので通気性も良い植え込み材です。ミズゴケだけだと固くコチコチになってしまうし、ベラボンだけではパラパラしてまとまらないため、我が家ではほぼ1:1の割合で混ぜて使っています。水を含んだミズゴケは柔らかいので、生えたての根にもやさしく、根も絡みやすいので、発根後、鉢の植え替える場合も根を傷めず扱いやすいです。
ベラボンやミズゴケの水分調整がしやすいように、容器は平たいザルにし、その中にベラボンとミズゴケを半分くらいの深さに敷き、表面にはミズゴケを敷きます。切った穂の発根する部分がミズゴケによく接するように葉伏せをして、数か所穴をあけたビニール袋にザルごと入れました。下の写真の赤←以外にも底や側面に穴を空けています。


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通気性が悪いと発根より前に菌が繁殖
キッチン用のバット〔平容器〕にベラボンとミズゴケを用土に葉伏せし、容器の上部をラップで密閉して、時々ミスティングして湿らせていたみたところ、葉が菌に侵されだめになってしまいました。穴の開いていない容器では、必要以上に過湿になりやすく、密閉状態は、空気の流れもなく温度も上がりやすいので、発根より菌やカビの繁殖を招きやすいようです。しばらくすると下の写真のように菌に侵されてしまいました。葉も腐っています。

要するに、保水性がありながら過湿すぎてもダメで、通気性が適度にないと菌が繁殖するばかりで腐ってしまうのです。そのような理由で、ザルと穴あきビニールの環境で、時々ミスティングして保水量を調節しながら、約2か月で発根しました。
発根までの期間、葉伏せのベストシーズン
約2か月かかりました。時期は4月~6月くらいが気温もちょうどよく順調でした。実は3月くらいから試していたのですが、切り取った茎や胞子嚢穂は生きているもののまったく発根しなかったのです。4月初旬に仕切り直し、ミズゴケ・ベラボンも新しくして茎の長さを短く切りそろえ、やり直したところ、数週間で穂の先端が持ち上がり生長しだしたので、やはり、葉伏せも4月~夏がベストシーズンだと思います。
葉伏せの間の管理場所
4月中は室内の明るい窓際、5月くらいから暖かく明るい屋外で管理していました。屋外でも室内でもどちらでも大丈夫ですが、屋外に置く場合は、乾燥しすぎていないか気を付けましょう。穴あきビニールで覆うのをお忘れなく。
発根した芽の植え付け
発根した芽をハンギングできる植木鉢に植え付けます。ベラボンとミズゴケを入れ表面はミズゴケを敷きます。あまり押さえつけて詰め込まずに入れています。

植え付けしやすいように発根した芽の余分な茎を切ります。

根についたミズゴケと必要ならミズゴケを足して根の部分に巻き付けます。その際、芽が立つように植え込みます

植え込み完了

植木鉢に対して、苗多いですよね。生長に従って分けて調整していこうと思います。
100日後


100日経ってこのくらいの伸びです。発根したゴエベリーを植え付け後、根を張るまでが若干時間がかかるようです。根付いて葉を大きく広げるようになってから、伸びる方向に生長し始めました。割と順調です。夏の間は、明るい日陰に吊っていました。猛暑時に多湿になると蒸れてしまうので、ミズゴケの表面がわずかに潤って、中はしっとりしているくらいの状態を保てるといいようです。鉢がベストの水分量の時と、乾いた時の重さを覚えておいて、鉢が乾いたら水やりをします。また、葉水も朝夕ときどき与えていました。
肥料は、夏の間は与えていませんが、9月の終わりころ、熱気がおさまるようになってからは、観葉植物用の液体肥料を、適正濃度の2倍薄めて週に一度ほど与えるようになりました。これからの季節すくすく育っていってほしいです。
ゴエベリーの生長は結構ゆっくりだと思います。もし購入されるなら、最初からある程度の大きさのものを購入する方が良いかもしれません。
300日後〔10ヶ月後〕


全部は育たなくて自然淘汰されましたが、長いヤツで10cmくらいに育っています。
脇芽が出てきたものもあります。

冬の間は、室内の明るい窓際で管理し、日中お天気が良く暖かめの日は数時間でも屋外て陽に当てて育てました。冬の間は肥料は与えず、水は、ミズゴケが乾いていたら霧吹きでミズゴケと茎や葉を湿らすようにしていました。用土はミズゴケとベラボンですが、中まで乾燥してそうな時は、下から水が出てくるくらい与えるようにしていました。窓際にハンギングして風通しはよくしていました。
3月に入って、気温が15℃以上を目安に外に出しています。徐々に屋外に出す時間が長くなってきています。いきなり陽に当てると葉焼けするので、明るい日陰から初め、少しずつ慣らして、陽に当てていきます。
肥料も再開し、観葉植物用の液体肥料を適正濃度の2倍薄めて、週に一度くらい与えています。
これからは生長期なので、ぐんぐん育ってほしいです。楽しみです。
1年後
水苔がだいぶ劣化しているので、6月初旬にミズゴケの交換をしました。根をできるだけ傷めないように替えられる範囲内での交換です。見た目も良くなりました。

1年2ヶ月

気が付けば2本の先端に胞子嚢穂が出来ていました。

胞子嚢穂が出ている二本は根元からも新芽がそれぞれ1・2本出てきています。また、茎の途中から脇芽を出しているものも2本あります。2本一株で根が出たものは、胞子嚢穂を出すほどは生長していないようです。
下の写真は根元から新芽が出てきている株です。胞子嚢穂+新芽の株2つはとても勢いがあり元気です。

ですが、茎の途中から脇芽を出したものは、2本とも生長が停滞しているようです。葉に勢いがありません。なんとなくこの鉢の生存競争から脱落していく雰囲気をかもしています。小さな鉢の中ですが、陽当たりや雨の当たり具合などのわずかなことで変わってきてしまうのかもしれません。

頑張ってほしいものです。
1年10か月後

冬の間、室内の明るい窓際で管理し、3月くらいから暖かい日中は外に出していました。日当たりなど、ちょっとした条件の違いで、生存競争で自然淘汰され3株が残りました。

3株は、昨年から茎の長さはあまり変わりません。茎を長く伸ばすより、脇芽を増やすほうにエネルギーを費やしたようです。ちょっと寒い日にも屋外に出しすぎたせいか、色が少し黄色くなっています。水苔も劣化してるし、生育もあまりよくないように感じたので、4月下旬に植え替えしました。
一回り大きい藤編み籠に直接植え付けました。さらに、やはり同じ遺伝子を持ちますが、既に違う個体ですので、まとめて植えると生存競争が発生します。そこで、中に仕切りをつけました。仕切りはプラの植木鉢を切ったものです。

深さがあるので、軽石を1/3ほど入れてから、水苔とベラボンを用土にそれぞれ植え付けました。
うまく生長するといいのですが…。ゴエベリーは、生長がゆっくりですし、具合が悪くても気づくのに少々時間がかかります。なんとなく生き生きしていないなと思ったら、根がやられていたりして。結構気難しく感じます。
2年3か月後
前回、中に仕切りを入れてみたのですが、生き残りは2株です。そろそろ独立させようと思っています。

胞子嚢穂(ほうしのうすい)の枝分かれが進み、一部葉が開いてきました。手前の二本の穂は、夏頃から黄ばんでしまい、ひょっとしたらうまく育たないかもです。直射日光には出来るだけ当てないようにしてたんですけどね…。その代わりといってはなんですげ、新しい穂が根元から数本出てきています。育つの遅いけど、ゆっくりと大きな株に育てばいいよねっくらいの気持ちで見守ります。
2年7か月
一本の株が一人勝ちして大きく生長し、根元から脇芽も増やしていっていますが、もう一本の株も生長は遅いですが生きています。やっぱり、日当たりとか生長のよい方に向けてしまうので分けたほうがいいですよね。秋ごろ独立させようと言いながら、ちょっと面倒で放っておいたのですが、春になったら分けようと思います。今度はちゃんと実行します。鉢の下から出すかたちに替えようかどうか考え中…。

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