ベランダ・ガーデニングを始めて20数年が経ちます。虫が付いたり病気になる前に、予防が大事とわかっていながら、ついつい目が行き届かなくなって気がついたら、かなり広がっていた!なんてこと我が家ではよくおきています?。ですが、優秀な薬品のおかげで、枯れることなく回復することが多いです。それで、たくさん薬品を揃えなくても、これさえあれば、というものを書き出してみました。
尚、我が家では、観賞用の草花・花木に使用しています。
春から秋口までが、害虫や病気がはびこる季節ですが、特に梅雨時期の6月・7月は、もっとも発生しやすい時期ですので、今から予防しておけば、ばっちりです。また、すでに虫が付いていたとしても発生初期は対処しやすいです。やっぱり、一番大事なのは予防ですよね。
害虫や菌・カビが付く前に…予防のための剪定・植え替え・農薬散布
我が家での経験上、害虫で手ごわいのは、コナカイガラムシとオンシツコナジラミです。アブラムシも含め、こういった吸汁性の害虫は、植物を弱らせるだけでなく、ウィルスを媒介したり、排泄物や分泌物からすす病などの病気も引き起こすので要注意です。これらは繁殖力が強く、風通しが悪く目立たない場所でいつの間にか増えています。根絶することは難しいです。
また、高温多湿な梅雨~夏の時期に蔓延する菌・カビ性の病気も風通しが悪く蒸れるのが原因です。ですので、もっともよい対策が、風通しを良くすることですね。枝や葉が多いと風通しが悪くなるのでよく風が通るよう剪定します。また、土も、いつも湿った状態では菌が繁殖しやすいですし、病気の発生や根腐れを起こします。
生長の季節の始まりには、新しい根を張らせるためにも、清潔な土に植え替えして根を整理し、枝も剪定すると、新しい季節を順調に迎えることができます。また、カイガラムシやアブラムシなどが前年付いた植物は、生長の始まる季節〔早春や秋口〕・植え替えや剪定時・梅雨入り前など、月に一度くらいの頻度で定期的にオルトラン粒剤を撒いておくといいですね。
オルトラン粒剤
害虫・病気の予防に…オンシツコナジラミなどは予防が一番
ばらまくだけで広範囲の害虫に効果が持続します。害虫予防といえばこれ! ですね。土にパラパラと撒き、根から吸収されることによって効果を発揮します。アブラムシなどの吸汁性の害虫やアオムシなどの食害性の害虫に効果があります。持続期間は長いですが、速効性はありません。ですので、害虫被害にあう前から定期的に散布し、予防する使い方がおすすめです。春の芽吹きのタイミングや、剪定・植え替え時、秋口など、温暖な季節になると虫も活発になります。コナカイガラムシやオンシツコナジラミなど、発生後は完全に駆除するのはとても困難になります。結局、被害が大きくなれば、盛りの時期に剪定しなければならなくなるという事態になりかねません。なので、予防がとても大事になります。
オンシツコナジラミ
予防が大事な例として、厄介なオンシツコナジラミの対策を挙げます。
春(4~6月頃)と秋(10~12月頃)に多く発生します。成虫や卵の状態で越冬します。湿った風通しの悪いところが好きなので、室内でも発生します。葉の裏に寄生する吸汁性の害虫です。卵・幼虫・成虫とすべて葉の裏にいるので気づきにくいですが、葉の表面には多数の傷ができました。おそらく裏から養分を吸われてできた痕ではないでしょうか。ポインセチアは葉が薄くて柔らかいので、結構傷が出来やすいのです。


上の写真、成虫は本当はこの数倍いるのですが、飛んでいってうまくカメラに収まりませんでした。
成虫は駆除しようとしても飛んでしまうので、効率的に殺虫剤を散布できません。オンシツコナジラミは水が苦手なので、シャワーなどをかけるのも効果的だといいますが、飛んで逃げて、また留まるの繰り返しです。駆除するのが非常に厄介です。蛹はこすってもとれないくらいこびりつきます。取り除こうととしたら結局葉を傷めることになります。卵→成虫→産卵の繁殖サイクルのスピードが早いので、葉の裏に卵から成虫まですべての形態が混在していることが多いです。オンシツコナジラミは、葉の汁を吸って植物を弱らせるだけでなく、排泄物によってすす病を発生させる場合もあります。結局、ポインセチアの葉を赤くする短日処理中に葉を全部切り落とす羽目になってしまいました。
発生してから、オルトランを撒いても遅いので、やはり次の年から予防を心掛けました。それから発生は防げています。予防のためのポイントは3つです。
- 春と秋に定期的にオルトランを散布すること、
- 風通しをよくすること
- 葉の裏にも葉水をする…日常的な葉の裏の観察にもつながります。直接水をかけてもいいですが、傷つきやすい薄くて柔らかい葉には、霧吹きでしっかりかけるといいですよ。
ベニカXファインスプレー
花木・草花・庭木と広範囲の植物に使えて、ほぼすべての害虫・病気に効きます。害虫に対しては、速効性と持続性を兼ね揃えた、とてもおすすめの殺虫殺菌剤です。スプレーの範囲も2種類あるので使いやすいです。我が家では、対処療法的な使い方をし、病変を食い止められたことも何度もあります。
菌やカビによる病気には効果的…うどん粉病や黒点病・黒星病
うどん粉病や黒点病・黒星病など、菌・カビによる病気にはとても効果的です。病気が出ている葉などは枯れてしまいますが、生長点での進行を食い止めることができます。我が家では、病気の葉が見つかると、病変している部位はもちろん、生長点に行き届くように散布してます。生長点が健康であれば、その後、新しい葉が出てきます。
下のレッドジュエルは、8月に蒸れて、病気になりましたが、1~2回ベニカの散布で、食い止められました。写真は、左が8月病気進行中の写真で、右が、完全に良くなり葉が生長した3か月後の写真です。

パキポディウム・グラキリスは多肉性塊根植物です。褐色から黒い斑が広がり、カビが原因だと思われます。初めは黒く小さな斑点でしたが、数日で大きく広がってきました。病変部と生長点に直接散布し、2日後にもう一度散布し、病変の進行が止まりました。念のため2週間後にも一度散布。写真は、左が病変部の写真、右が完治して1年半後の写真です。

八重咲のインパチェンスの葉に梅雨時にでた病変。おそらく黒点病。こちらも病変の出た葉と生長点にベニカXファインスプレーを散布し、食い止めることができました。

吸汁性害虫には、根気よく散布…カイガラムシ・アブラムシ・ハダニ
葉や茎の汁を吸う害虫の駆除には、予防としてオルトラン、対処としてベニカXファインスプレーを併用しています。
カイガラムシ
カイガラムシは、風にのったり、人の衣類などにくっついて簡単に入り込みます。ですので、一度駆除できても、またどこからともなく入り込んで、目立たない場所で繁殖している非常に厄介な虫です。カイガラムシには、いくつかの種類がありますが、我が家でよくみられるカイガラムシは、ヒラタカタカイガラムシとコナカイガラムシの二種類です。特徴として、風通しが悪いところで繁殖します。葉の汁を吸って植物を弱らせるだけでなく、べたべたした排泄物を出し、すす病などの病気を併発させる恐れがあります。幼虫の段階では、ベニカXファインスプレーなどが効きます。成虫になると、蝋や殻で体を覆い薬が効きにくくなるので、歯ブラシやつまようじなどを使って、きれいに除去し、ティシュなどで拭きとります。



成虫を除去した後は、ベニカXファインスプレーを散布します。見つかったところだけでなく、生長点なども付きやすいので、散布しておくといいです。


生長点にコナカイガラムシがつくと、奇形葉がでてきたり、生長が悪くなります。
アブラムシ
これも予防にはオルトラン、対処にはベニカXファインスプレーを使っていました。過去形になっているのは、現在我が家のベランダにアブラムシがいないからです。以前はよく発生して困ったのですが、今はいません。アブラムシが飛来するのは、春先から初夏で、だいたい5月中旬から下旬くらいがピークといわれていますよね。このころに黄色い花が咲く植物を無くしたら、我が家のベランダの植物にアブラムシがいなくなりました。黄色いものに目掛けて飛来するのは本当のことのようですね。我が家にも黄色い花が咲く植物がいないわけではなく、2月~3月にベランダの開口部から見えない場所でひっそりと咲いています。短期で花が枯れかけたらすぐ摘んでしまうので大事に至らないようです。
我が家のケースだけですので、絶対とはいえませんが、黄色い花に気を付ければ、アブラムシに悩むことはなくなるかもしれません。
ハダニ
ハダニはあらゆる植物に寄生します。蜘蛛の仲間で足が8本あります。1mm以下で葉の裏にいることが多いので気が付きにくいです。吸汁性害虫で、葉が下の写真のように白くなってから気づくことが多いのではないでしょうか。また、葉や生長点のところに糸を張り、集団でいることも多いです。放っておくと、植物が弱りいずれ枯れてしまいます。


ハダニは体色が赤系のものや黄緑系のものなど種類豊富です。高温の乾燥したところが好きで、水をきらいます。ですので、ハダニを予防するのに葉の裏側まで葉水するといいです。発生に気づいたら白くなった葉や糸が張られたところなどハダニのついたところを切り取り、植物全体に葉の表面だけでなく裏側にも葉水します。
葉水で手に負えない場合、ベニカXファインスプレーは、かなり効果的です。経験的にですが、1~2回散布することで、駆除することができます。その後の発生もみられません。しかし、またどこからともなくやってきます。ハダニは、薬の耐性が付きやすいらしいので、あまり頻繁に薬を散布せずに、日頃から葉の裏側まで葉水するなど予防を心掛けます。
食害性害虫
蝶の幼虫は、直接葉を食べます。擬態して隠れるのが上手なので、見つけにくいですが、フンが落ちていたり、葉が食べられているので気づきます。これらは、殺虫剤も使えますが、箸などでとり駆除しています。


ダンゴムシやワラジムシは、枯葉や死んだ虫を食べてフンを土に戻すので益虫のイメージがあるのですが、雑食性で生きている葉も食べます。我が家ではビカクシダのマダガスカリエンセの貯水葉の中にワラジムシが棲み着き、枯れ始めたところをガジガジとかじったり、生きてる葉に穴をあけたりします。ファニーなので、殺してしまうのが忍びないのですが、ビカクシダ全体を水に浸けてしばらくすると、出てくる出てくる…。ワラジムシの害で困っているのは、マダガスカリエンセだけです。

コガネムシの幼虫は、根を食い散らかします。見た目に原因が無く植物に元気がなくなったり枯れた場合は、土の中にコガネムシの幼虫がいるからかもしれません。コガネムシとカナブンは同じような見かけで、幼虫も見分けがつかないほど似ていますが、コガネムシの幼虫は、根を食い荒らす害虫です。一方カナブンは腐葉土を食べるので、植物には害がなくふかふかした腐葉土にしかいません。鉢の硬い土の中で見つけたらそれはおそらくコガネムシの幼虫です。また、コガネムシの幼虫は、カナブンの幼虫に比べて活発に動き回ります。

我が家では、元気のないヒューケラを9月頃に植え替えしようとしたら、6匹見つかりました。
ベニカXファインスプレーとベニカXネクストスプレーの違い
最近、ベニカのネクストスプレーが出てきましたね。ネクストスプレーの方は、5種類の成分を配合した殺虫・殺菌スプレーです。まぁ、いろんな病気や害虫に効果があるということなんでしょうね。ネクストとファインで共通している成分は、クロチアニジンだけです。
下の表は、ベニカに入っている成分について、厚生労働省のサイトから、その成分の効果対象を調べて一覧表にまとめたものです。ネクストスプレーとファインスプレーにそれぞれ入っている成分に〇をつけています。
成分名 | ベニカXネクストスプレー | ベニカXファインスプレー | 効果対象 |
クロチアニジン | 〇 | 〇 | ウンカ類 ツマグロヨコバイ カメムシ類 イネドロオイムシ イネミズゾウムシ ミナミキイロアザミウマ アブラムシ類 コナジラミ類 ハマモグリバエ類 |
ピリダリル | 〇 | × | コナガ アオムシ ヨトウムシ オオタバコガ ハイマダラノメイガ ウワバ類 ナモグリバエ ハスモンヨトウ |
ペルメトリン | 〇 | × | アブラムシ類 シンクイムシ類 ハマキムシ類 カメムシ類 オンシツコナジラミ |
マンデストロビン | 〇 | × | 菌核病 炭疽病 黒星病 輪紋病 紫斑病 灰星病 ホモプシス腐敗病 新梢枯死症 もち病 |
還元澱粉糖化物 | 〇 | × | ハダニ類 アブラムシ類 ハダニ類 うどんこ病菌 |
フェンプロパトリン | × | 〇 | ミカンハモグリガ チャノキイロアザミウマ カメムシ類 アブラムシ類 ケシキスイ類 ミカンハダニ コアオハマムグリ ミドリヒメヨコバイ シャクトリムシ類 ハマキムシ類 カネタタキ ケムシ類 オンシツコナジラミ ハダニ類 |
メパニピリム | × | 〇 | 灰色かび病 黒星病 斑点落葉病 灰星病 うどんこ病 小菌核腐敗病 褐斑病 |
両方使ってみての感想ですが、効果はどちらも優れていると思います。ただ、ネクストスプレーに入っている 還元澱粉糖化物は、対象の害虫を物理的に被膜することで効果を発揮する成分ですので、観葉植物の葉になどに噴霧すると、下の写真のように白く付着してなかなかとれません。下の写真のヒューケラの葉に、じょうろで直接水をかけるように水やりをして、もう一か月程度たちますが、とれません。被膜としては非常に優秀で、しかもヒトや動物に安全な成分なのですが、葉の美しさを楽しむような観葉植物には、向かないかもしれません。

殺虫・殺菌剤の総使用回数について
収穫物への残留回避のため設けられています。商品がちがっても、同じ成分を使っていれば回数としてカウントしなければなりません。植物だけでなく、周りの生物や人体への影響も考えてのことですね。尚、ベニカはとても効果的で、1~2回の使用で、ほぼ殺菌・殺虫できているので、あまり総使用回数について神経質になっていませんが、一年を通しての総使用回数なので、気には留めるようにしています。
アリ全滅シャワー液
蟻は、マンションでも外壁を登ってくることもできますし、女王アリが飛来して巣をつくることもあります。アリ自体は植物に害を与えることはありません。むしろ葉を食い散らかす虫を退治してくれたりします。ですが、鉢の土の中に巣を作るので、冬の間など観葉植物を室内に取り込む際、室内に蟻が持ち込まれることになるので困りますよね。
普段目立たなくても植木鉢を移動させたら、下の写真のように鉢と床との間で幼虫を育てていることもあります。


いろいろ試してみましたが、しばらくは姿を消すものの、またいつの間にか這い回っている、というように全滅できないことが多かったのですが、『フマキラー カダン アリ全滅シャワー液』はとても効果的で、散布以降、蟻の姿を全く見てません。おそらく全滅したんだと思います。巣があるであろう鉢の土、巣穴周辺、蟻の群がっているところや行列に直接かけます。植物にかかっても大丈夫です。
ブラックキャップ屋外用/コンバット屋外用
速効性があり、いつの間にかゴキブリがいなくなります。1年効果があるのもいいですね。たくさん仕掛けると効果的です。我が家では最近ブラックキャップ屋外用を仕掛けました。仕掛けて2日くらいで、容器のすぐ近くにGの死骸を見つけたときは効果を実感しました。
マンションのベランダから室内に侵入しやすい
Gを室内に侵入させないために、屋外で駆除します。ベランダ・玄関など、屋外に置くタイプです。Gは、案外、外から室内にやってきます。マンションのベランダなどは、お隣との境目の壁が、緊急避難のための『蹴破り戸』になっていて、床あたりツーツーになっています。なので、Gは、ベランダを介して隣近所からもやってくるのです。また、樋(とい)から排水溝も通路になります。窓や引き戸の隙間、換気口やエアコンのドレンホースなどからも室内に侵入します。
ガーデニングしているベランダは居心地のいい住処
そして、ベランダガーデニングをやっていると、植木鉢の底やベランダデッキの下、レンガの隙間など、至る所にGが快適に過ごせる場所があります。湿った暖かいところが好きなので植木鉢の土の中などにも卵を産むとか…。
植物への被害
雑食性なので、植物も食べます。葉に大きな穴が開いているのに姿が見えない場合は、Gの仕業かも…。

住宅に多いGの種類
クロゴキブリとチャバネゴキブリの2種が多いです。
クロゴキブリは、昔から定着しているGです。黒から茶褐色で大きめ〔25~30mm〕で飛ぶことができます。ベランダや窓の隙間・玄関から室内に侵入します。寒さに比較的強く、湿気が多くて暖かい場所に卵を産みます。観葉植物の土の中なども…。また、屋外では、排水溝や床下などに生息します。
チャバネゴキブリは、明るい茶褐色で小型〔10~15mm〕で飛べませんが、繁殖力が強く、比較的暖かい場所では、年中繁殖します。夜行性で、木造家屋よりもコンクリートを好みます。
どちらのGも我が家のベランダで見たことがあります。
対策
アース製薬のブラックキャップの屋外用や大日本除虫菊のコンバットなど、仕掛けておく殺虫剤はとても使いやすく有効です。効果的な置き方は、侵入通路となる場所に数多く仕掛けることです。室内への侵入を断固として食い止めるために、エアコン室外機の近くや窓やガラス戸の近く、デッキの下など、複数個置きます。屋外用は粘着テープで固定できますが、あまり粘着力が強くないのか、外れてしまいます。まあ中の餌を食べてくれればいいので大きな問題ではありませんが。
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