オブツーサの色素変異体であるゴーストを育てて、5年目を迎えます。毎年子株が吹いて、現在4頭+新しい子株1頭の群生になっています。年によって色の冴えが多少違いますが、新春から5月くらいまで楽しませてくれます。単頭でもきれいですが、群生にするとより華やかな一鉢になります。我が家のゴーストの季節による姿の移り変わりの様子をご紹介します。
オブツーサ・ゴースト(色素変異体)って何?
ゴーストというと、オバケやユウレイと呼ばれる葉緑素を含まない全斑の状態なのではと思いますが、オブツーサ・ゴーストは、クロロフィル等の形成に変異がある色素変異体です。もともとクロロフィルが少ないのか薄く透明な感じですが、季節〔紫外線量や気温etc…〕によって、色合いがコロコロ変わります。
尚、ゴーストって葉緑素を作る能力に変異があるということで、過程のどの部分にどの程度の変異があるかは様々だと考えられるので、我が家のゴーストと、皆さまのゴーストとは、様子が違うかもしれません。
シンビフォルミスの色素変異体は、キサンタ・ゴールドの名称で知られています。こちらについてもちょこっとだけ紹介します。
オブツーサ・ゴースト
我が家のゴーストの四季を通した変化
我が家のオブツーサ・ゴーストは、デルシアーナの色素変異体です。ゴーストの名で入手しました。尚、ゴースト〔色素変異体〕になった原因が、突然変異なのか、斑を作る薬によるものかはわかりません。ただ、薬によるものであれば、一時的に葉緑素が欠損しても自然治癒し正常に戻るか、回復せず全斑のままいずれ枯れてしまうかなのに、丸4年経った今でもゴーストの特徴を維持しています。子株も同じような色素変異体の性質を持っているので、薬によるものではないと思います。
ハオルチアは、組織培養などによってもたくさん作られていますので、色素変異体のようなものが出てくるのかものしれませんね。
話は戻り、我が家のゴーストですが、通年の傾向は、初夏~秋の気温の高い季節のクロロフィルの生成は、見た目では正常で普通のデルシアーナと何ら変わりがありません。
ですが冬~春の低温が長く続く時期には成長点付近のクロロフィルの生成能力が落ちるようです。季節での色素生成能力が、ノーマル個体のそれよりも変異しているということかなと思います。それで、成長点付近の葉の色が薄くなります。
我が家のは黄味が残るキサンタ変異体ではなく、クロロフィルが減少して黄緑になるクロリナ変異体に当てはまるのかなと思います。
1年目
◆2020年4月下旬…購入直後
真ん中は黄色、葉が古くなるほど緑です。中心部はわずかに緑がかっていますが葉緑素はかなり少なそう。
◆上の写真から2日後…日当たりのよいところで管理
穏やかな気温だったので、日当たりの良いところに置いてみたら、2日で赤くなりました。少し日当たりが強すぎるようです。
きれいな黄色に戻すために、ちょうどいい明るさを模索。直射日光の当たらない明るめの日陰で管理しました。
◆2020年5月下旬
クリーム色で、色素が抜けた感じ。
◆2020年9月下旬
5月下旬から4か月の間に何があったの?くらい色が変わっています。写真撮っておけばよかったのですが、初めての夏をやりす越すのに一生懸命で忘れてました。色素が抜けて真っ白になっている葉は、春に中心部でレモンイエローになっていた葉です。この白い葉は、これから先も色づくことがないので全ての色素とその機能が損なわれた葉なんでしょうね。
梅雨時期は、雨の当たらない軒のラックの上で管理し、夏の高温多湿の時期の8月~9月中旬は、室内の窓際で管理しました。朝から10時くらいまでは、ベランダの明るめ日陰に出していましたが、夏の間に生えた葉は、モスグリーンのような色味です。濁色ですが色味が薄い感じです。生長点あたりは変わらず黄味のあるライムグリーンです。
夏の間に生えた葉は葉緑素を比較的多く含んでいるようです。植物にとって春から夏は光合成能力が高まる季節ですね。植物は緑が濃くなる季節です。ですが、ハオルチアは、夏の高温多湿がすごく苦手です。我が家の真夏のベランダはサウナ状態なので、エアコン効いた室内で管理する時間が長くなりました。植物は、陽が十分に入らない室内で育てると、光合成をしようとクロロフィルを増やし緑っぽくなる傾向があります。緑が濃くなったのは、室内管理が原因かもしれません。
夏期に光合成能力が高まったか、室内管理で光合成能力を高めようとしたのかわかりませんが、この時期の葉は、緑が濃いです。
◆2020年11月初旬
9月中旬くらいからは暑さもおさまってきたので、室内管理からベランダの明るい日陰に置くようになりました。紫外線がまだ強いので緑の葉に赤味が加わり茶褐色になりました。これはこれで渋い感じですが地味ですねー。白く色素が抜けた葉は、全斑でそのままです。
◆2020年12月初旬
11月くらいからはハオルチアの生育に適した気温なので、ベランダに出しっぱなしです。雨も降らず晴天続き、最低気温も8℃前後、日中は20℃前後でハオルチアには過ごしやすいですね。直射日光は避けて明るい日陰で管理していたので、とてもきれいに発色しました。強い直射日光〔主に紫外線〕に当たるとアントシアニンが発色してしまうので赤くなりがちです。赤味を抑えて黄色味を出すには、直射日光を避けた適度な光量が必要ですね。
◆2021年3月
1月に入り、最低気温が0℃前後の日は夜だけ室内に取り込むようになりました。日中はできるだけ陽に当てるようにすると、またもや赤味がでてますが、寒さでクロロフィルが減少したのか、脱色気味です。古い外側の葉から、白い葉〔昨年春の新葉〕→葉緑素が比較的ある葉→葉緑素がかなり抜けてフラボノイドが発色している葉→新葉と、層になっており、昨年春の購入から一巡したことがわかります。
色素変異体は、クロロフィルやカロチノイドの形成が正常に行われないため、もともとそれらの色素が少なめです。我が家のゴーストについて一年通して考えてみると、春~夏頃にでる葉は、光合成を活発にするために緑が濃くなった可能性があります。また生成されたクロロフィルやカロチノイドが、アントシアニンなどのフラボノイドに守られて残ります。秋~冬に出る葉は、主に屋外管理なので寒さにさらされてクロロフィルが欠損するか、わずかにしか生成しないので、カロチノイドの黄色が残るか、かなり薄いライトグリーンになってしまうということでしょうか?
色素変異体って、生長点ではイエロー~ライトグリーンの葉が、外側にいくにしたがって葉緑素の生成能力が上がり、緑が濃くなると思っていたので、我が家のケースは意外でした。といっても観察していたのは一年足らず…。色がころころ変わる要因もまだよくわかりません。
2年目
2年目は、年中屋外管理でした。
◆2021年4月下旬
ハオルチア春の生長期です。春は風が強いですよね。雨が伴って暴風雨になる日があったので2日程度、室内に取り込んだらすっかり赤味が抜けてしまいました。
でもなんか違うんですよね…。昨年のこのコの新葉の色味はもっと薄くて黄色っぽかったはず…。確かに色素変異体ではありますが、これではない感じがすごーくあります。脱色しきれなかったというか、葉緑素が多いんですよね。健康になったともいえますね?。冬期にもっと厳しくストレスが必要だったんでしょうかね。
◆2021年5月下旬
西の方ではすでに梅雨入りしており、関東でもこの一週間肌寒く雨がしとしと、梅雨入り宣言がないだけで梅雨モードでした。それでも5月初旬~中旬は、真夏日のような日も多く、お天気のよい日は直射日光は避けて、木漏れ日があたるくらいの場所に置いています。なんか、全体に白っぽくなりました。少しオレンジかかってます。紫外線が強い季節なので、脱色されたのかもしれませんね。透明度は今一つですが、紫外線が多い季節は仕方ありません。
◆2021年8月中旬
夏になると葉緑素の生成が活発になるようです。緑が濃いですね。この年は真夏も屋外(ベランダ軒下の明るめ日陰)で管理したので、昨年よりもずっと色が濃いです。夏場は、正常なデルシアーナと変わらないですね。
◆2021年12月下旬
秋には、茶褐色になり、低温になるに従って新葉の色が薄くなってきました。
◆2022年3月中旬
12月に比べると全体が薄いです。低温で光を浴びて茶褐色になりました。上からの写真を撮るの失念しましたが、新葉の色は白っぽくなっています。
3年目
◆2022年5月中旬
紅葉から覚めて、きれいな緑に戻りました。中心は、きれいなライトグリーンになってます。
2年通してみると傾向がわかりますね。
子株を発見しました。子株は、色素変異体なのでしょうか。今のところ色は薄いですね。もう少し大きくならないとはっきりしません。楽しみです。
◆2023年1月
冬場の屋外管理は、低温と紫外線の影響で、古い葉が茶褐色、新芽が黄淡色になります。この冬は、黄味が強く出ています。色素変異体は、葉緑素の形成が不安定なので、子株も色素変異体になるのかわからなかったのですが、しっかりと色素変異体の性質は受け継いでいるようです。
昨年できた子株2個に加えて、今年も新しい子株が出てくるようです。
親株は、わりと大きなロゼットに育っていたのに、親株の生長点の近くから芽を出しました。ロゼットのかたちが崩れるのでちょっと残念です。でも割と旺盛に増えますね。
◆2023年3月
茶色くなっていた葉に緑が戻ってきました。中心部がきれいなイエロー&ライトグリーンで発色がきれいです。プリステラ90に植えていましたが、そろそろ植え替え必要な大きさでしたし、見栄えのいい鉢に植え替えました。
陽の当たる場所では、こんな感じ。
ゴーストってホント不思議ですね。季節が同じだったら同じ色というわけではなく、その時期の環境条件で、色が変わるのが面白いです。育てた3年の中で今年が一番綺麗だと思います。
◆2023年4月
前回の更新から10日しか経っていないのですが、柔らかな色合いですごくきれいだったので撮影。ゴーストって群生させると趣がありますね。
くす玉のようですね。
4年目
もう、繰り返しなので通年の記録は取っていませんが、2024年3月~4月の写真だけ紹介します。
〔2024.03.15〕下葉はあずき色、中心部はオレンジががった黄色と、まだ寒いこの時期は相変わらずの不思議色。和菓子の練り切りのような雰囲気あります。
暖かくなってきたので、赤味が抜けてさわやかな色合いに。今年もなかなか綺麗です。やっぱり群生は見ごたえがありますね。
溢れそうなので、また一回り大きい鉢に植え替えました。
今年も新しい株が出てきてます。来年は5頭になりますね。鉢の大きさも来年ちょうどよくなると思います。
2024年5月~7月は平年より暑いようですね。GW直前の現在は、お天気もぐずついてひんやりしていますが、5月に入るとゴーストがゴーストでなくなるのも早そうです。
キサンタ・ゴールド
もう一つの色素変異体、シンビフォルミスのキサンタ・ゴールドは、日陰や室内では美しいライムグリーン色ですが、陽を浴びると黄色~橙色に変化します。キサンタとは、カロチノイド由来の黄色い色素、キサントフィルからの命名でしょうか。キサントフィルは、ほとんどの植物にあり光合成の補助色素だそうです。キサントフィルは正常に機能していますが、クロロフィルが少ないということなんでしょうね。
◆3月初旬
日当たりが良すぎるとかなり濃い黄色〔橙色〕になります。
やっぱりほどほどがいいですね。熟れ過ぎた瓜みたいで好みではないので、日当たりを調整して一枚目の写真くらいに色を戻しました。数日、置く場所を変えるだけで、色味が濃くなったり薄くなったりします。好みの色合いで楽しみたいと思います。
◆5月下旬
きれいな黄緑の葉になり美しいです。シンビフォルミスは、丈夫で育てやすい上に仔もよく吹きます。このコもすでに仔がいくつか出てきてます。
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