フィカス・ウンベラータの剪定と増やし方:挿し木(水挿し)・取り木の方法と失敗しないコツ

〔2020.04.26〕枝の分岐のさせ方についてこちらに追記しました。
フィカス ウンベラータ 剪定 挿し木 水挿しフィカス ウンベラータ 剪定 挿し木 水挿し

フィカス・ウンベラータの剪定や挿し木は5月~7月頃が適期です。ウンベラータの夏季はワンシーズンで20~30cm伸びます。気に入っていた樹形が崩れてきたり、あるいは背が高くなりすぎて屋内外の移動や室内での採光などの点で扱いづらくなったと思ったら、この季節に剪定して形を整えるといいですね。適切な剪定をして、適度な陽当たりと風通しのよい環境で育てれば、元気で生き生きと育ってくれます。

また、切り取った枝から増やすのに、挿し木と取り木という方法があります。短い枝は挿し木が、長い枝は取り木が適していると思います。挿し木は、我が家では水挿し(水を入れた容器に挿して)で発根させています。水挿しも取り木もどちらも成功率高く発根します。

フィカス ウンベラータ 剪定 挿し木 水挿し
〔水挿し〕での発根

フィカス ウンベラータ 取り木 根が生えた
〔取り木〕での発根

剪定のコツや挿し木(水差し)、取り木の仕方について、我が家の方法をまとめてみました。

剪定が必要なわけ

陽当たりと風通しのよい環境で育てるために…大きくなると移動が大変

ウンベラータはとても丈夫な植物です。耐陰性もあり室内で育てる人気の観葉植物ですが、夏場は屋外で、風通しよく直射日光の当たらない明るい日陰で管理すると健康に育ちます。秋肌寒くなる頃から、室内の明るい窓際に置き、春まで管理します。

年間を通して日照不足では、病気にもなりやすく十分に育ちません。大きくなると移動が大変になりますから、毎年剪定して、背丈や葉を整理しましょう。

フィカス・ウンベラータは生長スピードが早い

フィカス・ウンベラータは成長速度がとてもはやく、成長期である夏季には20~30cmくらい伸びます。我が家は夏季はベランダで育てているので40cmくらい伸びる年もあります。秋になると生長スピードは緩くなり、冬場はほぼ休止します。ただし、冬でも陽の当たる暖かい窓辺で育てればゆっくりでも生長します。

背が高くなれば、室内では先端に光が当たりにくくなります。

生長により樹形がだんだん崩れる

購入した時はきれいな樹形でも光の当たり方によって枝それぞれの伸び方が違うので樹形が変わります。光が良く当たる枝の先端だけがぐんぐん伸びて、陰になっている枝の芽は休止します。樹形のくずれが気になるようであれば時々鉢をを回して陰になっている枝の先の芽にも光を当てて生長させてやるといいです。経験的なことですが、陰で休止していた芽を陽のあたる方へ変えてあげて、芽への霧吹きをしばらく続けると目覚めやすいようです。

葉が茂り過ぎる

葉が茂り過ぎると根で吸い上げた以上に葉から水分が蒸散され、かえって水分が不足して、葉が垂れてきてしまうことがあります。葉を減らして陽当たりも風通しもよくなると、陰になっていた芽も生長しやすいですし、害虫や病気の予防にもなります。

剪定するタイミング

夏季は剪定に適したシーズンです。特に5月~6月くらいは、これから生長が活発になるので、剪定などのダメージも回復しやすいです。葉が茂り過ぎたり、大きくなりすぎたり、樹形の崩れが気になったら、初夏の内に剪定しましょう。

剪定する前に

切った枝のどこから新芽がででくるか

枝を輪切り状に線ができるところが節です。切り落とした部分より下の節で、葉柄が枝に付いていた痕の上の節の部分に新しい芽が出て上に伸びていきます。

芽は、切り落とした下の1節目と2節目の2つくらいが大きく育ち、ちょうど二股に分かれて伸びていきます。(2つ以上芽がでる場合もあります)

フィカス・ウンベラータ 剪定 芽

切っていない枝の節の部分を観察してみると枝から葉柄が出でいる部分の上に丸い突起があり、切断すると、この突起部分が芽に生長するのでしょう。下の写真は、左が葉がついた若い枝で、右は葉が落ちた痕のある古い枝です。

フィカス・ウンベラータ 剪定 挿し木 水挿し
フィカス・ウンベラータ 剪定 挿し木 水挿し

剪定するときは、枝の長さを考えながら、芽をどちらの方向に伸ばすか、この突起を目印にして剪定するとよいでしょう。

一方向からだけで見ず、いろんな方向から見て想像してみる

経験的なことですが、植木はあまり動かさず育てていると、光の当たる方向に芽が向き生長するので、わりと平面的な枝ぶりになる傾向があると思います。左右には広がるけど、横からみると薄っぺらい樹形です。ですので剪定するとき、いろいろな方向から見てどんな樹形にしたいのか想像して切ることが大切です。どこを切るか悩んだときは、ここはという所を一か所切って様子を見ながら進めることもできます。剪定期間は、春から夏の終わりくらいまでありますから。

剪定した後の枝を発根させてもう一鉢作る…『取り木』するなら剪定の1か月前に処理しておく

剪定した枝を使って増やしたい場合、2つの方法があります。

『取り木』と『挿し木』です。

『挿し木』は切り取った枝を土や水に挿しておく方法ですが、『取り木』は、木の皮を剥ぐなどの方法で枝に傷をつけて、その部分から発根を促す方法で、傷つけた部分に水苔などを巻き付けて根が出てきてから切り、植え付けます。確実に発根させてから切り離すので、剪定しようと思った枝が比較的長く大きい枝の場合、取り木のほうが扱いやすいでしょう。ただし、十分に発根するまで1か月以上かかる場合もあるので、5月に剪定するなら3月中に『取り木』の処理をするとよいと思います。

剪定するときの注意

切断時の白い樹液に注意

ウンベラータはゴムノキの仲間で、樹皮に傷をつけると白い樹液が出てきます。この樹液がとても粘り気があり、服につくとなかなか取れません。また、人によってはかぶれることもあるようなので、手袋をする、床に新聞を敷くなどの準備をしてから作業をしましょう。

枝を切る道具

剪定ばさみできれないくらい太い枝はのこぎりで切ります。ただし、白い樹液がのこぎりに付着しふき取るのが大変です。使い捨て覚悟で切るか、専用にしておくといいです。

我が家の剪定

フィカス・ウンベラータ 剪定
〔2017年5月〕

2017年にこじんまりとするよう剪定し、2018年にも伸びた枝の剪定をしましたが、毎年すごい勢いで伸びます。夏季はベランダに出して育てているので、40cmは伸びます。また、一本の枝が突出して伸び、このままではこの夏に天井に届いてしまうので剪定することにしました。それに葉っぱ茂り過ぎ。葉を数枚間引きます。

フィカス・ウンベラータ 剪定
〔2019年剪定前〕

フィカス・ウンベラータ 剪定 挿し木 水挿し
〔剪定後〕

きれいにまとまりました。

挿し木(水挿し)での増やし方

フィカス・ウンベラータ 挿し木切り

挿し木は、切った枝をそのまま植えて増やす方法です。まだ青い若く短い枝に向く方法です。上の写真は小ぶりな枝を切り落としたときのものです。切ったばかりの枝をそのまま土に植えたのでは、枝からまだ根が出ていないので失敗することがあります。そこで、根が出てくるまで水挿しして、根が出てから植えます。

フィカス・ウンベラータ 挿し木 水差し 葉落とし

切った枝を、そのまま水に浸けるのですが、根がないので水の吸収がまだうまくいきません。ですので出来るだけ葉を落として蒸散を防ぎます。全部落としても良いですし、少し残しておいて様子を見てから切っても大丈夫です。うちは先端の4枚を残して葉を落としました。花瓶にさしておくと見た感じもかっこいいですね。水替えは、してもしなくてもどちらでも大丈夫です。我が家では、見た目汚れてきたら変えています。

フィカス・ウンベラータ 挿し木 水差し

1か月後

そのまま1か月間水挿しした後の様子です。

フィカス・ウンベラータ 挿し木 水挿し
フィカス・ウンベラータ 挿し木 水挿し 発根

枝の下から根が出てきました。枝についている白いものは根が出始めているところです。割とたっぷり目の水に浸けていたのですが、根はちゃんと下の方から生えてきました。こうなると根から水を吸い上げられるので、鉢に植え替えても枯れることは殆どありません。

植え付け

ウンベラータは成長が割と早いので、少し大きめの鉢に植えます。鉢の1/3程鉢底の石を入れ、水はけをよくします。土には観葉植物用の培養土を使いました。

フィカス・ウンベラータ 挿し木 水挿し 植え替えの準備

根が生えてきている部分は全部土の中に隠れるように、培養土を入れます。

フィカス・ウンベラータ 挿し木 水挿し 植え替え

植えた後は、鉢底から水が出てくるまで、しっかりと水やりし、日陰でしばらく育てます。風が強いようであれば、しばらく支柱を立てておくと安心ですね。

フィカス・ウンベラータ 挿し木 水挿し 植え替え 水をたっぷり

水挿ししている間、蒸散を防ぐために葉を全部落とす方も多いようですが、うちでは結果的に3枚残しました。葉の状態を見て水が足りないようであれば葉を落とせばよいと思います。

取り木での増やし方

取り木とは、木の皮をはいで水苔などを巻いておくと、そこから根が出てくるので、ある程度根が育ったら枝を切って植え替え、木を増やす方法です。大きく長い枝の場合は、取り木が扱いやすいでしょう。

皮をはがす

枝を切ろうとするところより先端寄りの所を約5cmくらい皮をはぎます。

フィカス・ウンベラータ 取り木位置

ウンベラータはゴムノキの仲間で、樹皮に傷をつけると白い樹液が出てきます。この樹液がとても粘り気があり、服につくとなかなか取れません。また、人によってはかぶれることもあるようなので、手袋をする、床に新聞を敷くなどの準備をしてから作業をしましょう。わたしはかぶれたことないので手袋してません。

フィカス・ウンベラータ 取り木 切り込み上
フィカス・ウンベラータ 取り木 切り込み下

樹皮は、カッターで簡単に剥くことができます。

フィカス・ウンベラータ 取り木 樹皮はがし

枝にぐるっと切り込みを入れ、割と厚めに樹皮を剥ぎます。

フィカス・ウンベラータ 取り木 皮の剥ぎ方

目安としては緑色の樹皮は全部取り除く位の厚さを剥ぎます。上の写真の赤い楕円の部分は白い芯まで到達しています。この楕円の中の白い部分と同じくらい全体を削ぎます。

断面でみると下の写真の赤点線の部分が露出するように削ぎます。黒丸がウンベラータの樹皮です。赤い点線丸の所が枝の芯になります。色が変わっていますね。この芯の部分まで、しっかりと皮を剥く必要があります。

フィカス・ウンベラータ 取り木 木の断面

樹液が結構沢山出てきますので注意してください。樹液は5分もすれば止まります。

尚、カッターナイフの刃に樹液が付着すると取れません、刃は折り取って廃棄するつもりで作業してくださいね。

水苔を巻く

樹皮を剥いだ後は、水苔にたっぷり水を含ませて巻き付けます。片手一杯から少し多いくらいが目安です。

フィカス・ウンベラータ 取り木 水苔
フィカス・ウンベラータ 取り木 水苔 巻き付け前
フィカス・ウンベラータ 取り木 水苔 巻き付け後

樹皮を剥いだところが乾かないようにしっかりと密着させて巻き付け、ビニールでくるんで乾かないようにします。

フィカス・ウンベラータ 取り木 ビニール前
フィカス・ウンベラータ 取り木 ビニール後
フィカス・ウンベラータ 取り木 水苔補充

水分は水やりのタイミングで少しずつ足していきますので、水やりができる程度の隙間が作れるように、ビニールの重ね合わせを工夫するのが良いと思います。うちは、ビニールをちょっとずらすとすぐに水やりができる程度の重ね合わせにしています。水苔が少なめなら追加することもできます。

フィカス・ウンベラータ 取り木 完成

発根するまで水苔が十分水分を含んでいる状態を維持してください。ビニールを少し開け時々水を足してやります。

このまま2週間~1か月ほどすると根が育って鉢に植えられるようになります。確実に太い根が出てくるまで水苔が乾かないように水を含ませ置いてきます。

根が出なかったら?原因は?

古い枝は発根しにくく、若い枝の方が成功率が高くなります。観葉植物の場合、比較的若い枝を取り木することが多いと思います。フィカス・ウンベラータの場合、順調なら取り木の処置を施してから約1か月くらいで発根しています。根が出ない理由は幾つか考えられます。今までの経験から根が出ない理由は大体次の2つだと思います。

  • 皮の剥ぎ方が不十分
  • 水苔の巻き付けが不十分

皮の剥ぎ方が不十分

以前、取り木処理から1か月経っても取り木のビニールの内側になかなか根が見えないことがありました。1か月位待ってみて水苔を剥がしてみたのですが全く根が出てません(下の写真)。皮の剥ぎ方が不十分だったようです。

フィカス・ウンベラータ 取り木 根が生えない

もう一度、同じ個所を全体に削ぎ、ミズゴケとビニールを巻きなおします。

水苔をしっかり巻いて乾かないように水やりをして3週間後、今度はしっかりと根が出てきました。

水苔の巻き付けが不十分

皮がしっかりと剥けているのに根が出てこない時は水苔の巻き付けを確認して下さい。特に皮を剥いた所より枝先の葉が萎れたり、黄ばんで来たら枝先に水分が不足している証拠です。皮を剥いた所や枝先側の皮の部分に水苔がしっかり当たっておらず、根が出せない可能性が高いです。水苔にたっぷり水分を含ませたら、ぐるっと巻き付け、ビニールなどで包んでしっかりと紐で結んで密着させ根を生やし易くしてあげましょう。また、発根するまで水苔が十分水分を含んでいる状態を維持してください。ビニールを少し開け時々水を足してやります。

取り木する

フィカス・ウンベラータ 取り木 根が生えた

ビニールの上からも根が確認できますね。赤く見えるのが根です。ここまで根が出れば植え替えても大丈夫です。

フィカス・ウンベラータ 取り木

水苔を巻いた所より枝の根元側を切り、取り木します。切り取った枝側からも、残った枝側からも白い樹液が出てきます。かぶれることがあるので触らない様に気を付けて下さい。

ビニールを外してみると根がしっかり出ているのがわかります。

フィカス・ウンベラータ 取り木 根 表
フィカス・ウンベラータ 取り木 根 裏

切り取った枝は根が乾かない様に、また水苔を崩さないように水にそっと浸けておくと安心です。

フィカス・ウンベラータ 取り木 水に浸ける

この時、植付け後を考えて余分な葉を落とすと作業がし易いですよ。葉を切り落とすと、白い樹液が出てくるので気を付けて下さいね。

フィカス・ウンベラータ 取り木 葉を落とす

植え付ける

フィカス・ウンベラータ 取り木 植え付け

水苔は崩さずそのまま鉢に植付けます。

フィカス・ウンベラータ 取り木 植え付け

水苔の少し上までがしっかりと土をかぶるように植付けます。

フィカス・ウンベラータ 取り木 植え付け

最後にたっぷりと水やりをして落ち着かせます。後はしばらく日陰で育てます。

フィカス・ウンベラータ 取り木 植え付け

枝を分岐させるには

ウンベラータを長年育てていて、自然に枝分かれすることは、我が家の経験では無かったです。挿し木・取り木で増やした木など、枝を分岐させるには、先端の芽を落として脇芽を出させます。若い(茎がまだ青い)木の場合は成功しやすいし比較的早く分岐します。また、下の方から分岐させたい場合も丈の低いうちにやっておくといいですね。

水差しで発根させた枝を、植えた直後の写真です。

先端の芽を落としてしばらくすると…

芽が出てきました。

フィカス ウンベラータ 芽
フィカス ウンベラータ 芽

下の写真は現在の様子です。

フィカス ウンベラータ 剪定 挿し木

1か所から2本ずつ出てきました。

剪定したところより下の3節から芽が出てきました。また、2か所は、2本分岐しました。芽が出る場所は節の上の丸い突起なので想像つきますが、何節出るか、1か所からでる芽は1本なのか2本なのかはわかりません。ですが、のちのち樹形を自分で作っていくには、若いうちから計画的に剪定するといいのではないでしょうか。

いかがでしょうか。皆様の参考になればと思います。

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