何の木か調べる方法:ケヤキとハゼノキ・ナナカマドの葉の形や付き方などの特徴で見分ける

何の木

昨年の11月に、ガーデンショップで赤く紅葉した苗木が18本くらいポットに植えられて売られていました。

たしか¥500くらいだったかな。背は15㎝~5㎝くらいで茎は直径5mmくらい、赤く紅葉した葉がうつむき加減についている姿がとても風情があったので購入しました。あの時、店員さんに聞いておけばよかったのですが、勝手にケヤキだと思い込んでいました。

冬の間、落葉したものとそのままのものが入りまじり、全く生長が止まっていたのですが、春になって赤くて初々しい新芽がでてきたのです。うれしい!赤く紅葉するけやきの芽は赤芽性なのねと簡単に調べて納得していたのですが、よくよく調べるとケヤキでないような…。

それに葉の縁にギザギザのあるものとそうでないものが混じっています。木が違えば違う種類の寄せ植えなのだろうと思いますが、一本の木にギザギザのある葉とない歯が混在しているのも何本かあるのです。ギザギザ葉ばかりの木は小さくて細いものが多いようです…いったいこの木は何の木なんだろう…

そこで、うちの「何の木」を同定するためにいろいろ調べたことをまとめてみました。

木の種類を調べる上で役に立つ項目

木の種類を調べるためには、まず葉の種類を調べるのがよいです。葉の種類と代表的な木を列挙してみます。

1)広葉か針葉か

  • 針葉樹:
    • 先がとがった針のような葉を持ち幹がまっすぐ伸びる
    • スギ、ヒノキ、マツ
  • 広葉樹:
    • 平たい形の葉で枝分かれして広がった樹形になる
    • ケヤキ、クスノキ、ブナ、カエデ

2)常緑か落葉か

  • 常緑樹:
    • 冬になってもすべてが落葉せず、緑の葉のまま
    • スギ、ヒノキ、マツ
  • 落葉樹:
    • 冬に落葉して、冬の間、葉を付けない状態で過ごす
    • ブナ、イチョウ、カエデ、サクラ

3)紅葉するかどうか、また何色に紅葉するか

落葉樹で葉がどのように紅葉するのかでも分類できます。

  • 紅葉:
    • カエデ、ケヤキ、ハゼノキ、ナナカマド、コナラ、サクラ
  • 黄葉:
    • イチョウ、ポプラ
  • 褐葉:
    • ブナ、ケヤキ、トチノキ

4)花・実、色や形、時期によって見分ける

時期がこないとわかりませんが、ちょうど花や実の頃には、植物の名前を特定するのにもっともわかりやすい方法ですね。

5)葉の形態(葉の形・大きさ・葉脈・葉の付き方(単葉・複葉/互生・対生)・葉の縁(鋸歯など))

イチョウやカエデなど、特徴的な葉の形のものは容易に見分けることができますが、一般的な形の葉のほうが多いですね。その場合、細かい特徴で特定していきます。例えば、葉の大きさや葉脈の出方、単葉(一枚葉)か複葉(小葉の集合体)、葉が互生(互い違い)か対生(向き合っている)、また葉の縁にギザギザ(鋸歯)があるかなどで見分けることができます。

葉の付き方や特徴で、特にまぎらわしいものの見分け方を詳しく調べてみました。

葉の付き方や特徴で植物を見分ける

単葉か羽状複葉か

葉の付き方は次の4種類に分類できます。

  • 単葉:
    • 名の通り葉が1枚。枝に単葉がついたもの。枝の先には芽があり、枝に対して立体的に葉がつきます。枝から出る葉柄の元には節があります。
  • 複葉:
    • 小葉(小さな葉)が複数集まって構成されます。
  • 羽状複葉:
    • 小葉(小さな葉)が平面的で左右対称についていて節がありません。葉が奇数の場合は奇数羽状複葉、偶数の場合は 偶数羽状複葉といいます。
  • 掌状複葉:
    • 3、5、7枚の小葉が葉柄の先端、放射状について1枚の葉になっています。

参考のため、普通の一枚葉(単葉)と複葉について絵にまとめてみました。複葉の小葉がついた軸は、枝ではなく実は葉柄なんです。

単葉 複葉

単葉と複葉の一番簡単な見分け方は見分けは、先端に芽があるかどうかです。単葉は枝に直接ついているので先端に芽があります。一方、複葉の先端は芽がなく、複数の小葉の集まりの葉だとわかるのです。

単葉 複葉 葉の付き方

葉序(葉っぱの付き方)が、互生(互い違い)か対生(向かい合い)か

葉の生え方には、互生と対生と輪生があります。

  • 互生:
    • 互い違いに単葉、複葉がついている
  • 対生:
    • 向き合うようについている
  • 輪生:
    • 輪上に3枚以上の葉がつくもの
葉序

複葉と葉序の例

何の木
シマトネリコ

「何の木」は奇数羽状複葉が葉柄に対して互生に出ています。参考までにシマトネリコは奇数羽状複葉が葉柄に対して対生に出ています。

葉の縁

葉の縁に鋸歯(ギザギザ)があるかどうかです。ないものを全縁といいます。

ちなみに「何の木」の葉の形は、写真左の披針(ひしん)形(先端が長く尖っている)の全縁の葉と、写真右のギザギザが鋭い歯牙縁の葉が一本の木に混在しています。

ハゼノキ 葉 披針形
ハゼノキ 葉 鋸歯

ケヤキ、ハゼノキ、ナナカマドの見分け方

うちの「何の木」は、広葉樹なのと、落葉したので落葉樹だと思います。また、紅葉の色は赤なのでケヤキ・ハゼノキ・ナナカマドに近いと絞れました。葉の付き方や特徴で比較してみると次のようになります。

3つの木の特徴まとめ

  • ケヤキ(ニレ科)
    • 単葉・互生
    • 鋸歯がある
  • ハゼノキ(ウルシ科)
    • 奇数羽状複葉・互生
    • 鋸歯なし(ただし幼木にはしばしば鋸歯が出るが、ナナカマドほどハッキリとしていない。)
  • ナナカマド(バラ科)
    • 奇数羽状複葉・互生
    • 鋸歯有り

葉の付き方を比べてみると、ケヤキが単葉なのに対し、「何の木」は奇数羽状複葉が幹に対して互生に出ているとわかりました。ケヤキとハゼノキは葉の付き方が単葉か複葉かで区別できます

この時点でうちの「何の木」は、ハゼノキとナナカマドに絞れました。ハゼノキはウルシ科の植物で実からはロウの原料がとれるそうです。一方、ナナカマドはバラ科の植物で「7回カマドに入れても燃えない」といわれる大変燃えにくい木だそう。この2つの木は、たいへん姿が似ていて区別が付きにくいようですね。そこで、葉についてさらに詳しく調べます。ハゼノキとナナカマドの違いは葉にギザギザ(鋸歯)があるかどうがです。「何の木」は下の写真のように全縁と鋸歯が一本の木に混在しています。

ハゼノキ 鋸歯

ハゼノキとナナカマドについてもう少し詳しく見ていきます

  • ナナカマド
    • 葉脈は、主脈(中心の太い葉脈)・側脈(側方の細い葉脈)ともにはっきり見える
  • ハゼノキ
    • 主脈は目立ちますが側脈が目立たない

以上の結果から、うちの「何の木」はどうやらハゼノキのようです。鋸歯については、あるものや不均一に凸凹しているものが混ざっていますが、これは幼木だからなのでしょう。ナナカマドの葉の縁は、均一で細かい鋸歯なので、うちの「何の木」はナナカマドではないようです。

花の時期と色は?

  • ナナカマド:
    • 複散房花序に白い小さな花を多数つける。
    • 花期:5~7月
  • ハゼノキ:
    • 雌雄異株で円錐花序に黄緑の小さな花を多数つける。
    • 花期:5~6月

最終的には、花の時期を待つということになりそうですが、幼木のため花が咲くのに何年かかるかわからないですね。素人判定でおそまつですが、とりあえずはハゼノキとして育てます。

[2017/11/19追記]

ハゼノキとして一年育てた記事はこちらです。よろしかったら見てください。

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